第18話 無詠唱魔法
『おい。一体何なんだ。今日、大阪に到着したばかりで、これで3回目の襲撃だ。しかも今度の奴は、完全に頭がイカれた金髪野郎だ!』
「お前が、雪組隊長の万有か!その実力 、今ここで見せてもらうぞ。」
と叫ぶなり、金髪でファッションモデルのような、ものすごい美形の男が、とんでもなく異様な物体を肩にかつぎながら、よたよたと近づいてきた。
その物体は、どこからどう見ても、自販機で売っているセブ◯ティーンアイス チョコミント味を超巨大にしたものだった。大きさは万有ほどある。よほど重いのか足がガクガクしている。
万有のそばまで近づくと、必死の形相でその超巨大セブンティー◯アイス チョコミント味のスティックを両手で持ち、しゃがんでから、ジャンプするように両足を伸ばし、その反動で何とか肩にかついだジャンボアイスを頭上に振り上げ、万有に向かって、振り下ろしてきた。
万有は、なんとかその攻撃から身をかわした。
「おいお前。 世の中、イケメンなら何をやっても許してもらえると思ってるだろ。
道のど真ん中でなんてことをするんだ。他の人に当たったらどうする気だ。」
万有は大声でこのイカれた金髪野郎を怒鳴りつけた。
「何を言う、お前の方がイケメンだろ。人生楽勝コースで、生きてきた人間にしか見えんぞ。」金髪野郎が負けじと 怒鳴り返してきた。
「何を言う、 俺のどこがイケメンだ。 どれほど俺が今まで苦労してきたかわからないだろう。
お前の方が、全然イケメンだろ。
ここはお前が住んでいいところじゃない。
早くハーレム世界へ帰っちまえ。」
万有は、
「馬鹿め、どんなに一目惚れされても付き合ってすぐに、私ではとうてい受け入れきれない。
なんて言葉を吐きかけられてきたことなどないだろう。
どれほど傷つくか、お前にわかるわけがあるまい。」
金髪野郎が苦しみに満ちた顔で怒鳴った。
「すまなかった。俺には、お前のその気持ちが痛いほどよくわかる。」
言うなり万有は土下座した。
「えーい。 問答無用。我の
怒りで我を忘れた金髪野郎は、またもや超巨大セブンティーンアイス チョコミ◯ト味を、よたよたと同じ動作で振り上げ、土下座している万有に振り下ろそうとした。
その時!巨大な光の玉が、イカれた金髪野郎を包みこみ、 はるか彼方へ ぶっとばしてしまった。全くの無音だった。
振り向くと魔法発動のポーズをとっている
あまりの驚きに万有は、大声をあげた。「エッ!魔法って詠唱無しで発動できるんだ。」
本来なら、魔法発動の反動で激痛に苦しむはずだが、吹雪は万有のためなら全然平気だった。万有の質問に答えることの方が重要だったからだ。
「魔法は、イメージを具現化して放出するものだからね。魔法が使える人で、詠唱なんてことしてる人は見たことがないよ。
無言でいきなり魔法を使うと、全然絵にならないからね。アニメとかでは不必要なことを、わざわざやってるんだよ。」
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