一話ごとに「笑い」と「驚き」がこれでもかと詰め込まれていて、独特のテンポ感で物語が転がるように進んでいく作品。
気づけば「あと1話だけ…!」のつもりが止まらず、そのまま一気読みしてしまう中毒性があります。
ギャグの切れ味は抜群なのに、要所ではしっかり予想を裏切ってくる展開もあり、読者の感情を掴むのが本当に上手い。
しかもキャラクター同士の掛け合いが自然で、それぞれが生き生きとしているので、読んでいるうちに作品世界へどんどん引き込まれていきます。
正直、このまま直接アニメ化しても絶対に化ける作品だと思いました。
映像になった時のテンポ感や台詞回しが容易に想像できるほど完成度が高く、今までありそうでなかった“新しい作風”を生み出している感覚すらあります。
ろくでもない前世を過ごし、なんの特典もないまま異世界転生したケンチは探索者として生き抜き、ついに「アイテムボックス」の能力を手に入れた。早速試してみようとした彼だったが誤って内に落ちてしまい、そして人の言葉を使うばかりかロボットを使役して文明的な居住空間を構築している青いトカゲ、マンマデヒクと出会う。
見どころはなんといっても「マーちゃん初めて物語」! すごい力を持ちながらアイテムボックスという空間に封じられていたマンマデヒク=マーちゃんが、ケンチさんといろいろな場所に行って表す反応は本当に生き生きとしていて、実に微笑ましいのですよね。
そしてケンチさんの生きる探索者世界もまた、やさぐれているくせに活気に満ち満ちていて、描写ひとつひとつから「生きてる!」感が力強く感じられるのです。
探索者組合が宗教組織という設定も効いていますね。荒事と敬虔が融合して仁義へ昇華して。まさにタグにもあります“任侠”の風情を魅せてくれるのです。
切り口のよさと意気のよさが織り成す小気味よさ、ぜひご賞味あれ。
(「鋼の異世界!」4選/文=髙橋剛)