粗大ゴミをめぐる、ほんの些細な近所の揉め事。
そう思って読み始めたはずなのに、気づけば次々と現れる秘密と勘違い、思惑と偶然に振り回され、ページをめくる手が止まらなくなっていました。
誰かが真相を語れば、また別の真相が現れる。
ようやく事件が解決したと思えば、さらにその奥から新たな事実が顔を出す。
その繰り返しなのに、不思議と混乱することはなく、むしろ「次は誰が何を隠しているのだろう」と期待しながら読み進めてしまいます。
登場人物たちは、決して名探偵でも、分かりやすい悪役でもありません。
見栄を張る人、家族を守りたい人、軽い出来心で行動してしまう人、仕返しをしたい人――。
誰もが少しずつ秘密を抱え、それぞれの事情が絡み合った結果、一つのギターケースが思いもよらない騒動へと発展していく。
その人間臭さが、とても魅力的でした。
そして、最後に待っていた締めくくりには、思わず笑みがこぼれます。
すべてを知ったあとでは、それまで何気なく読んでいた場面まで違って見え、もう一度最初から振り返りたくなる。この鮮やかな仕掛けも見事でした。
軽快な会話劇を楽しみながら、人と人との思惑が幾重にも交差していく面白さを存分に味わえる作品でした。