昭和の世の中を児童の目からみた述懐録です。
川に纒わる幾つかの話がまとめられています。
殊に後半の川遊びの話。
ここでは生々しい子どもの恐怖と焦燥が描き出されています。
本作を読む者は、頼りとする大人のもどかしいほどの反応の鈍さ、事態の切迫感。
それらがあたかもその場にいるように伝わってきます。
世の中をわからないから、理解できないから。
怖さに満ちた世界へ向ける子どもの目線。
時に鈍く、時に鋭敏なその感受性に、読む者は引き込まれることでしょう。
かつて子どもであった人たちへ贈られた、忘れられた感性が本作にはあります。
どうぞ、ご覧くださいますように。