第21話
仕事終えて、自宅の自分の部屋の勉強机の前の椅子に腰掛けて、並川と友晴君がどうすれば仲直り出来るかを考えていた。
しかし、全然いい案が思い浮かばない。
「……思いつかない」
溜息を吐き、机の上に顔を置き、土門さんに渡されたチラシを眺める。
「……遊園地か」
その瞬間。案を一つ思いついた。
「これだ」
僕は机の上に置いていた携帯電話を手に取り、操作をして、アプリを起動させ、亜子さんに連絡する。
ー高松真一です。時間大丈夫でしょうか?
失礼のないように丁寧な文を送る。
数秒経つと、既読が付き、連絡が返ってきた。
ー大丈夫だよ。敬語やめてよー
ーいや、癖で
嘘だ。そんな癖はない。
ー距離感感じるよ
ーそれじゃ敬語やめるよ
ーよろしい。それでなに?
ー並川さんと友晴君の事で頼みたいことがあるんだ
ー頼みたい事?いいよ。言って
ー二人を仲直りさせたいんだ。両方から頼まれてさ
ーそれは大変だね。いいよ。手伝う
ー本当に?
ー本当だよ。嘘嫌いだし
ーありがとう。それじゃ、並川さん&友晴君仲直り作戦を説明するね
なかなかのネーミングセンスだ。
ー何そのネーミング。でも、なんか面白そう
少し傷ついた。ネーミングを酷評されるとは思っていなかった。
ーまず第一段階は最近出来た遊園地「ファンタジーランドに僕と亜子さんと並川さんと友晴君の4人で遊びに行く
ー亜子でいいよ。それで次の段階は
ーそれじゃ亜子で。第二段階はみんなで遊んで、頃合を見て僕が亜子に合図を出す。そして、並川さんと友晴君を二人っきりにする
ーうん
ーそして、最終段階は僕が友晴君に指示を送って仲直り出来るようにしていく
ー誘導していくのね
ーそう。で、二人は仲直りする。どうかな?
ーいいと思う。私も出来るだけアシストするね
ー頼もしい。頼むよ
ー任せて
ーありがとう。亜子の料金は僕が出すから
当たり前だ。誘っといてお金を出させるなど図々しいし、何よりも男が廃る。
ーえ、自分で出すよ。何か悪いし
予想外の答えが返ってきた。
ーいや、でも僕が誘ってるからさ
ーいいよ
ーでも
引き下がれない。引き下がってはいけない。
ーえーそれじゃ2割だけ出して
亜子に気を遣わせてしまった。
ー半分は払わせて。それじゃないと僕の気が治まらない
わがままを言ってしまった。でも、このわがままは押し通さなければならない。
ー……うん。それじゃ半分で
わがままが通った。いや、提案が通ったと言った方がいいか。
ーじゃあ、それで
ー分かった!それじゃ、日程決まったら教えて
ー了解!
亜子からスタンプが送られてきた。スタンプはアプリキャラがお辞儀をして「よろしくお願いします」と書かれているものだった。
僕はアプリキャラがサムズアップしているスタンプを送り返した。
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