公募用あらすじ(※結末含む)
売れない作家の
頭部が植物のように変形している葉脈憑きに襲われ怯える螢だったが、祓う能力を持たなくとも葉脈憑きを救いたいと願う諫早の態度に胸打たれ、物語を語った。
見事葉脈憑きを鎮めた螢へと、諫早は手を伸ばす。
「おれには、あんたが必要なんだ」
自分を、自分の文章を必要としてくれる諫早の手を、迷った末に螢は取った。
諫早の春告鳥になって数日。
少しずつ交流を深めていく螢と諫早だったが、諫早の兄である
激昂する諫早の登場によりその場はうやむやとなるが、螢の胸中には不安が渦巻く結果となった。
そんな中、諫早の友人である
螢は物語を語るが、嫉妬心から螢に憎しみを向けていた白坂に春告鳥の言葉は届かず、祓い屋では対処のできない【開花】状態になった。
やむを得ず、諫早は螢に気づかれないように白坂の首を落としたのだった。
白坂の首を落としたことにより穢れを纏った諫早は、諫早と契約関係にある花師・
白坂に春告鳥としての言葉が届いておらず諫早に友人の命を奪わせた事実を祓い屋である
雫久はそんな螢の気持ちを汲み、螢を本家へと連れて行ってくれると言った。
しかしそれを阻止したのは──
戦闘の末、雫久は夏凪家当主・
すべては、幼馴染みである
不知火にさらわれる形で穂積と対峙した螢だったが、豹変した穂積に殺されかけ不知火とともに逃げ出すこととなる。
穂積の中には、彼の父である
心神喪失状態となった螢は八千歳の思惑通りに諫早に別れを告げ、それに反抗した諫早は【
担当編集者である
そこは、自由と自我を奪い殺し合いをさせ呪いを作り出す地獄のような場所だった。襲われた螢を、自我がないはずの諫早が守る。螢は諫早が自我を取り戻せるようにと彼が主人公の物語を贈った。
不知火と雪彦は幼い頃に契約を結ぶ約束をしていたが、不知火が当主の祓い屋に選ばれてしまいふたりの約束は叶わなくなる。
禁術によって産み出された葉脈に襲われるふたり。穂積の命令で禁術に手を染めていた不知火は強い自己嫌悪に陥るが、幼い頃の記憶を思い出した雪彦の行動により、ふたりは再び約束を交わす。
八千歳の厳しい教育に疲れ果てていた日々季はある日の任務の帰り道、山に捨てられていた赤子を拾う。赤子は葉脈に浸かって生き延びていた葉脈染まりであり抹消対象であったが──その暖かさに触れた日々季は家を捨て赤子とともに姿を消した。残された弟の穂積を気遣う余裕もないままに。
匣庭の中、穂積の心に積もった寂しさを知った日々季は、穂積とともに逝く覚悟を静かに決めた。
【巫蠱】での勝手な行動が知られ、八千歳によって螢は滝壺へ投げ入れられる。自我を取り戻した諫早が後を追い、ふたりは遠い遠い記憶を覗き見る。
諫早によく似た、花師であり祓い屋でもあった男と、螢によく似た春告鳥の青年。
八千歳──本来の名を
葉脈染まりの春告鳥としての言葉で禁術により産み出された鬼の葉脈と八代を浄化した螢だったが、八代は最後の悪足掻きに祓いの能力のない諫早は螢を利用しているだけだと叫ぶ。
負い目を感じた諫早が言葉を詰まらせるが──螢は改めて、自分は諫早の春告鳥だと告げる。祓いの能力を取り戻した諫早によって喉を突かれた上に、浄化された匣庭から脱出した日々季によってとどめをさされ、八千代は溶けるように消滅した。
新当主に雪彦が就任し、今後の花師と祓い屋の未来の展望を述べる。時間はかかるだろうが、この日、澱んでいた夏凪家に新しい風が吹いたことは確かであった。
螢の部屋でのんびりと過ごす螢と諫早は、春告鳥と祓い屋としてのこれからの未来を思い、高らかに乾杯してみせた。
作家センセと葉脈祓(ようみゃくばら)い~春告鳥はかく語りき~ 灯燈虎春(ひとぼしこはる) @hitobosi-thaw
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