本作は戦火の中で信念を貫く騎士・クルシェナと、王国を巡る陰謀を描いた異世界戦記です。王太子妃オリビアの護衛として王宮に仕える彼女は、魔獣、隣国の脅威、そして幼馴染の王子・ラージェナシュタンと向き合います。王国の未来を左右する決断が迫る中、彼女は何を選ぶのでしょうか。
本作の魅力は、戦争描写のリアルさです。戦線維持や兵站、外交戦略が詳細に描かれ、単なるバトルではなく、長期的な視点で戦争の厳しさが如実に表現されています。騎士団の活躍で一時は持ちこたえるものの、防衛線が崩壊すれば王都が危機に陥る——そんな緊迫感が物語を引き締めています。
個性的なキャラクター達も魅力です。クルシェナは過去の傷を抱えながらも仲間を守るために戦う強い女性。ラージェナシュタンは冷淡に見えますが、隠された真意が気になる存在です。王太子グランシュタンや諜報部隊のネジュなども物語に深みを加えています。
戦争・謀略・ロマンスが絶妙に絡み合い交錯する重厚な物語。ファンタジーの中にもリアリズムを求める方におすすめです。