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  • 第1話への応援コメント

     作品、読ませていただきました。
     読み終えて、これは殺人鬼が求める答えとはなんだったのか、その捉え方次第で見方が変わってくる物語だと感じました。
     ですので私なりにこの殺人鬼が何を求めて思想家たちを殺したのかを考え、ここに書かせていただきます。

     まず初めの方に殺人鬼のセリフがあります。「人を殺すのは~同じ事だというのに」という部分です。ここから見るに彼には殺人の楽しさを誰かに共有したのではないか、という考えが浮かびました。
     けれどそれは理解されなかった。だから彼等の視線に立って「お前等が好んでやっている音楽などと同じ感覚でしている事なんだ」と言っている。「だというのに、どうして理解してくれないんだ」と。

     セリフだけ見れば狂気的な殺人鬼に見えますが、彼の周りの人間関係だったりを想像してみると、およそ友人らしき人物がいるとは考えにくい。人間という社会性を重んじる生物として良い状態ではありません。
    ですので彼が思想家を殺していたのは「理解者が欲しい」「友人が欲しい」「仲間が欲しい」などの無意識な想い。あるいは孤独という状態を脱却するための、本能が起こした衝動ではないかと仮定しました。
     これが私なりの殺人鬼に対するアンサーです。まあ、この仮定は彼の無意識な欲求を考察したものです。無意識の発見はもっと先、20世紀頃になると思うので、彼自身は納得せず、殺されてしまうんでしょうけれど(笑)

     次に考えるものとしましては「傲慢とは何か」なんでしょうね。
    作中の最後辺りに『~笛の音の女も、殺人鬼も、そして数多の思想家達も、皆全て傲慢であったのではないかと思うのです。』という文がありました。
     「傲慢」という言葉は驕り高ぶり、人を見下す様を指す言葉です。その言葉をそのまま当てはめると、確かに殺人鬼、思想家は傲慢かもしれませんね。

     しかし女の方はどうだろうかというと、傲慢には少し見えません。
     作中の女はどういう立ち位置かというと、多分生贄のようなものだったのではないかと思うのです。豪華な船に色々な動物、そして美しい裸の女。最後に現れる神のような存在から察するに。そんな立場の人間が傲慢かというと、少し疑問に感じます。
     という事は、そのままの解釈ではない、別の視点が必要なのではないかと考えれます。

     そこで私は、傲慢とはどういう状態の時になるだろうか。そう考えました。
    これは私の考えになりますが、傲慢とは一種の自衛ではないかと思うのです。弱い自分というのを大きく見せようとする、一種の威嚇行為。「自分はこれほど凄い」「これほど偉い」「力を持っている」というように見せますが、内心怯えているのではないか、これくらいしなくては認められないのではないか、それを隠す為の行動。それが傲慢である。私の勝手な意見ですが。

     しかしそれであれば当てはまりそうに見えます。殺人鬼は孤独を紛らわす為。思想家は「自分の考えは凄い」という知恵で他者を見下し、自己を肯定する。女であれば生贄という立場でありながら「死ぬことは怖くない」という、本当であれば死にたくはないが、そういう役目を背負ったのなら仕方がないという、強がり。
     それが作中の「傲慢」と呼ばれる言葉の解釈なのではないか。そう読み取りました。

     と長々と書いてしまいましたが、色々と考える余地のある素晴らしい短編でした。大変面白かったです。

    作者からの返信

    yagi様

    お読み頂きありがとうございます!
    沢山の考察をして頂き嬉しく思います。

    yagi様の考察にあった様に、この作中の殺人鬼は自らの行いを全く疑っておりません。
    そして笛の音の女に出会い、殺人鬼は自らの中に隠された他者(あるいは世界)と何かを分かち合いたいという思いがある事に気づいてしまいます。
    殺人鬼にとってはそれほどにこの女が印象的だったのです。


    傲慢に関しての考えも素晴らしいですね。
    正直お恥ずかしいところ私自身が『傲慢』というワードを作品内で用いるのに悩んだのですが、これほどの考察をいただけるのであれば私としても書いて良かったと思う事が出来ます。

    「傲慢とは一種の自衛であり、弱い自分を隠す為のもの」との事でしたが面白い考え方だと思います。
    人は誰しも自らの中にある何かを守る為に、必要以上に他者に自らを示し、自らを満たそうとする……もしかしたら作中の殺人鬼が最後に肉の海で溺れたのもそんな想いが行き過ぎたからなのかも知れないですね。


    私の作品を見て頂き、そしてこんなに多くの事を考えて下さり、ありがとうございました!

    編集済