12

 ###


「いらっしゃいませー。「「いらっしゃいませー」」2名様ですか? ……はい、お先に「じん3から5卓のバッシングお願い」食券から「はい」お願いします」

 ピピピピッ、ピピピピッ、ピピ、ピッ。

「ありがとうございます。2名様ダブルだいです! 「「ありがとうございまーす」」こちらのお冷が置いてある席へどうぞ! 「恐れ入りまーす」紙エプロンは「こちら油そば並盛と白ネギ別皿になります。ごゆっくりどうぞー」「ごゆっくりどうぞー」ご利用になられますか? あ、ありがとうございましたー!「「ありがとうございましたー」仁これ8番さん辛味噌WB」「はい」紙エプロン2つですね、かしこまりました。「こちら辛味噌ダブル盛Bトッピングになります。ごゆっくりどうぞー」「ごゆっくりどうぞー」こちらになります!」


 夕方の八時半といえば、飲食業的には一番忙しい時間帯だ。まあとはいえ、業務内容は簡単な方だし今日は程よいお客さんの入り具合だから楽なもんである。

 丁度茹で麺機が空いたところだから2名分をそのまま入れてしまおう。Wは2玉、大は1.5玉。タイマーをスタート。


 ちょっとした手の空く時間に何気なく店内を見回す。空きは3から5と10卓。7、8、9、14卓はそろそろ空くな。

 ……なぜ2番卓に八木沼うじが居るのか。いや、まあストーカーだからそんなものか。でも今日の今日で来るのは流石というか。……これ実は自分が気付いてないだけで、わりと普段から通っていた説あるな。


 彼女の隣に妹がいるのは最早なにも言うまい。上から下までがっつり変装しているつもりだろうが、なんの意味もない。自分おれが変装しても妹は絶対に気付くだろう。同じ理屈だ。ということはただの建前だな。普通に八木沼氏と話してるし。というか君ら、昼もラーメン食べたのに夜も麺かよ。もうちょっとこう、あるだろう。仮にも十代の女の子だぞ。


 そんなことを考えているうちに麺が茹だり4分15秒、湯から上げて、他の麺籠の上にのせて湯切りする。

「いらっしゃいませー!「「いらっしゃいませー」」何名様でいらっ…4人で。四名様ご来店です!」「「ありがとうございます」」


 ちょうどならびで空きそうだから大丈夫そうだな。

 温めておいたどんぶりに油とタレを入れて、湯切りした麺を容れる。なんのトッピングも買ってないようだが、サービスでネギゴマと温泉卵を乗せてやろう。店長もこんなことくらいなら怒りはしない。というかバイト始めて2ヶ月の大学生に麺場任せてシフト組んでるの本当におかしいだろ。


「お待たせしました。こちらが油そば大盛りで、こちらがダブル盛りになります。ごゆっくりどうぞー」「「ごゆっくりどうぞー」!」

「えっ。お兄ちゃん私たちこれ」

「良いから黙って食え」

「ウッス、あざっす」

「ありがとうございます!」

「うむ」


「4名様並Bと大大Wです!」「「ありがとうございます」」


***


──────────


ちょっと長くなったので分けました。全然一つでもいいくらいなんですけどなんとなくです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る