喪失と再生の物語です。
愛する人がいなくなった世界は、残された方を振り落とすようにたちまち無常に速度を上げて廻り始める。
昨日までは手をつないで歩いていた煌めく町の景色が、今はまるで色を失ったかのように独り身の心を映し出す。別れとは残酷です。
失意の中で思う願い事。それは、もう一度あなたに会えたら───
その願いが叶い、愛する人がもし再び目の前に現れてくれたなら。
二人のようにたくさん話して、たくさん一緒に歩いて、たくさん抱き合って、たくさんの感謝を言葉と涙で伝えるでしょう。そんなささやかな奇跡の物語です。
残酷かつ理不尽な別れだったとしても、その“魔法”は消えません。人の心は“死”で終わりではないからです。
今日もきっと誠は町の片隅で、永遠に解けることのない魔法を胸に歩いているのでしょう。その目に映る町の色は、あの奇跡の夜に二人で見た花火のように煌めいているのだと思います。
テンポよく続く誠と幸恵の会話に、この時間が永久に続けばいいのにと私も思いながら読みました。
柔らかい筆致で、読後は胸に小さな明かりが灯る優しい物語です。是非読まれてみてください。
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