第042匙 豆酒場:ダルバール(市ケ谷)

 九月十九日、実は、この日の書き手はカレー提供店を〈三店〉巡る予定にしていた。


 まず第一軒目が、竹橋界隈の「マーキュリー」さんで、訪店時刻は十四時、二軒目が、麹町の「ソレイユ」さんで、訪れたのは十八時過ぎ、そして、三軒目として、夜、二十二時過ぎに市ケ谷の「ダルバール」さんを訪れる事にしていた。

 この店は、市ケ谷駅の「A4」口から徒歩で二~三分の所に位置し、その移動経路は、「靖国通り」を渡って、「東郷元帥記念公園」に面している、その名も「東郷通り」に接している極細の路地に在る。


 それにしても、だ。

 スタンプ・ラリーの為とはいえども、お腹の減り具合や店の閉店時刻の事情もあって、一日で三軒のカレー店を訪れるのは、なかなかにして至難の技なのだ。


 しかも、書き手の場合、〈一筆書き〉という縛りプレイもしている。

 この条件下だと、曜日限定しか営業していない店や、昼のみ営業の店もあって、空間面に拘る限り、時間的に余裕があって数店回りたい日だとしても、行きたくても一日に三軒いけない場合も出てくる。


 だから、長時間営業で、かつ、閉店時刻が遅めの店は、一日に何店も回る計画を立てる上でキー・レストランとなり得るし、かつ、二食目と三食目の食間を〈四時間〉程あける事もできるので、この日の最後に書き手が訪れた「ダルバール」は、ラスト・オーダーが二十二時半、閉店時刻が二十三時と、スタンプ・ラリストたる書き手にとって非常にありがたい存在なのである。


 ただ一点懸念があって、店によっては、客が少ない場合、冊子やWEBなどで提示している情報よりも早く閉店する場合もあるので、それゆえに、書き手は、ラスト・オーダー時刻よりも早めに到着できるように、ノマド・ワークをしていた九段下の千代田区図書館を後にしたのであった。


 しかし、早めに閉店するかも、という心配は全くもって杞憂であった。

 路地裏に在るとはいえども、市ケ谷駅から数分という立地の良さ故にか、店は、飲み会をしているグループで大変賑やいでいたからである。


 どうやら、この「ダルバール」は、たしかにカレーも提供している料理店なのだが、店前の幟には、店名の下に「インド アジアン ダイニングバー」という文言が、店の特徴を端的に示しており、少なくとも〈ディナー〉に関しては、〈アジアン・ダイニング〉として、スパイス料理を肴にお酒を楽しむ性格の店で、かくして、飲み会のグループがいた次第なのだ。


 さて、件のガイドブックの「ダルバール」のページによると、このスパイス居酒屋では、「ランチタイムは30種類のカレーとガパオライス、ガオマンガイ、タイ風エビチャーハンなど」、「ディナータイムは、100種類のカレーと美味しいお酒に合うおつまみも多数ご用意」している、との事であった。

 つまり、この店のウリは、カレーをはじめとするメニューの多様さであるようだ。


 そして、グルメ・サイトによると、ディナーの時間帯のカレー・メニューに関しては、単品で様々な種類の「チキンカレー」、「マトンカレー」、「野菜カレー」、「キーマカレー」、「シーフードカレー」などが用意されているらしく、書き手は、主食とカレー、さらに、サラダとソフトドリンクが付いた〈セット・メニュー〉を注文する事にした。


 セットは四種類あって、書き手は今回は、「1種類のカレー」の「ディナーAセット」を注文する事にした。

 ちなみに、「Bセット」や「チーズナンセット」「スペシャルセット」においては、カレーは、「グランドメニュー」から好きなメニューを選ぶ事ができるのだが、「Aセット」では、「チキンマサラ」、「野菜カレー」、「ダルカレー」という三つしか選択肢はない。


 だがしかし、選べるカレーの少なさは、この日の書き手にとっては問題ではなかった。

 というのも、たとえ、数多の種類のカレーが選択肢に並んでいたとしても、書き手は、店名に入っている、ダルカレーを選ぶ事を最初から決めていたからだ。


 というのも、この店の名の「ダルバール」の〈ダル〉は、ネパール語で〈豆〉の意味で、〈バール〉は、おそらく、ヨーロッパ言語、例えば、フランス語の〈バール〉、これは、英語における〈バー〉の意味で、つまり、幟にあった「ダイニングバー」の表記とピタリ合致し、ちなみに、日本では〈バー(バール)〉といえば、〈酒場〉の事を指し示す。


 つまるところ、〈豆酒場〉という店名の「ダルバール」において、書き手は、豆カレーを頼まんと、最初から決めていた分けなのだ。


〈訪問データ〉

 ダルバール:市ケ谷

 二〇二四年九月十八日(木)二十二時十五分

 ディナーAセット:一三七五円(クレカ) 

 カレー辛口、ナン、ラッシーソーダ

 カード42「キン肉マン」


〈参考資料〉

『公式ガイドブック』、四十ページ。

 〈WEB〉二〇二四年十月二十六日閲覧

『ダルバール【公式】』

「アジアンフード」「メニュー」、「全55種食べ飲み放題 インド アジアダイニングバー ダルバール」、『Rakutenぐるなび』

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