第57話 ブライアンさんは二度驚く

 「Eランクの魔物であり【斬撃耐性】も所持していたが、簡単に倒すことができたな」


 [シュペール]の狩場でFランク魔物を余裕を持って倒せるようになったが、ここは上位の狩場だ。


 当然、魔物もホブゴブリンやダッシュ・ボアよりも強いので、とても緊張していた。


 ただ、今の戦闘で俺の攻撃力がEランク魔物の防御力を突破できると分かったので、一安心だ。


 「ブライアンさん、魔石の取り方を教えて頂けますか?」


 「…あ、あぁ。アレン、お前…強いな」


 「ブライアンさんとお話した時に、私はEランク冒険者相当の実力があると言いました。ですが、私もオークを一撃で倒せたことには驚いています」


 「そりゃ、そうだろ。オークを一撃で倒せるEランク冒険者はいないと思うぞ。特に物理攻撃でダメージを与えるのは難しいからな」


 「そうですね。ただ、調子に乗らないように気をつけます」


 「いい心掛けだ。それと、そのオークは冒険者ギルドに運ばないのか?」


 「他の魔物とも戦闘したいので、このオークは魔石のみ取り出し、死体は放置します。ブライアンさんもオークを運びながら、私についてくるのは大変だと思いますので」


 「そうか。それじゃ、魔石の取り方を教えるぞ」


 「お願いします」


 俺とブライアンさんはオークの死体を挟んでしゃがむ。


 「魔石は心臓部にある。この辺りを解体用の短剣で皮膚と肉を抉り、心臓に癒着している魔石を取る。簡単だろ?」


 「そうですね。ですが、解体用の短剣は所持していません」


 「悪い、俺も気づいて教えてやれば良かったな」


 「いえ、私の準備不足が悪いので、気にしないでください。代わりに、この長剣で魔石を取り出そうと思います」


 「あぁ、怪我には気をつけろよ」


 初めて解体するのと解体に長剣は不向きなので、少し手古摺ってしまった。


 心臓部に癒着している魔石を取り親指と人差し指で掴み、観察する。魔石は光沢のある黒色をしており、【魔力感知】で内部の魔力を感知した。


 「この魔石が魔道具の動力になるのですね」


 「そうだ。魔石は俺達の生活には欠かせないものだ。高ランクの魔物の魔石はとても大きく内部の魔力量も多いから、需要がとても高い」


 「なるほど」


 「それにしても、アレンは肝が据わっているな」


 「何故、そう思うのですか?」


 「初めて解体する時は誰だって気持ち悪がったり、動揺したりするものだ。アレンは淡々と熟していたから、そう思ったんだ」


 「ブライアンさんもそうだったんですか?」


 「そうだな。慣れるまでは胃袋の中身が空になるまで吐き続けたもんだ。新人冒険者が必ず通る道だ」


 「そうですか。英雄と讃えられるSランク冒険者や世界に四人しかいないSSランク冒険者も最初は苦労していたんですかね?」


 「そうだと思うぞ。他の奴等よりも才能はあったかもしれないが、必ず苦難に直面する。数々の苦難と修羅場を乗り越えて、その高みに登り詰めたんだろうな」


 「私も彼等に追いつけるように頑張ります」


 「おう! 気合いを入れて頑張れ!」


 「では、まずはブライアンさんが背負っている籠がいっぱいになるまで、魔物を討伐します」


♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢


 「ブモォオオオ!」


 二匹目のオークに遭遇した。


 次は魔法でオークに攻撃し、どれほどダメージを与えられるか確認する。


 「雷霆よ、敵を貫け、雷撃ライトニング


 バリバリバリィィィ


 雷撃ライトニングはオークの額に直撃する。


 オークは蹌踉めきながら一歩二歩と後退る。そして、頭を左右に振り、また雄叫びを上げて駆け出した。


 「やっぱり、知力値が低いから、ダメージはそこまで与えられないか。魔法は隙を作るために使用したほうがいいな」


 オークが丸太のような剛腕を横薙ぎに振るうが【跳躍】して躱し、大剣を振り下ろして真っ二つに両断してやった。


 『【体術】Lv.4にUPしました』


 【体術】は筋力値が増加するので、俺の物理攻撃の火力が上がった。


 オークの死体を解体し、魔石を取り出す。それをブライアンさんの背負う籠に入れると、ブライアンさんが質問してきた。


 「アレンはオークを一撃で屠れる【剣術】があるのに、【雷魔法】まで所持しているのか?」


 「そうですね。何かおかしいでしょうか?」


 「冒険者は基本的にパーティーを組む。そして、その役割に合ったスキルを選択し、スキルのレベルを上げていく。例えば、【剣士】は【剣術】や【身体強化】を選択し、そのスキルのレベを上げる。だから、魔法系統と戦闘系統を両方選択する奴はいない」


 「ですが、一人で活動する冒険者もいますよね? その人達は魔法系統と戦闘系統を選択して、臨機応変に立ち回れるようにするのではないですか?」


 「全くいないとは言わないが、そういう奴はあまり強くなれないだろうな」


 「何故ですか?」


 「魔物との戦闘は命懸けだし、レベルを上げるのも大変だ。貴重なスキルポイントを消費して、魔法系統と戦闘系統のスキルを選択しても、レベルの低いスキルを多く所持するだけだ。何かに特化しなければ決定打に欠けるし、スキルレベルによる能力値増加の恩恵を受けられなくなる。うだつの上がらない器用貧乏になるだけだ」


 確かにその通りだなと思った。しかし、それは一般的であればの話だ。


 俺にはユニークスキル【強欲】がある。


 人類種や魔物から所持スキルを奪えるので、スキルポイントを消費しなくても、スキルレベルを上げることができる。


 俺の努力次第では近接戦闘も魔法戦闘も優れた冒険者になれる。いや、それを目指す!


 「スキルポイントの割り振りは慎重に考えてみますね」


 「あぁ、それがいいだろう」


 「では、狩りを再開しましょうか」

 


 


 


 

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