英雄王が悪しきものと繋がるゲートを閉じて以来、1000年の繁栄を続けてきたファラナシア王国。
王家、宰相家、そして王を諌めるものである諌家の三家で、時に対立し時に手を携えあいながら繁栄を続けていくと誰もが信じていた。
だが身分違いの婚姻の末に誕生した、誰もを魅了するカリスマを持つ王太子の成長と時を同じくして王国に影が差しはじめる。
王墓で見つかる英雄王の手記、三家の間で高まる緊張感。それぞれの立場で暗闘する政治劇。そしてそれらに巻き込まれて、慎ましやかな生活を送っていた人々がある日突然残酷に命を奪われる。
派手なスキルもなく、ご都合主義の快進撃もない、現実の重さや世の無常を感じる話の構成で胸が潰されそうになる展開の時もあります。
それでありながら、軽妙な会話、緻密な描写が駆使され、その重さを自然と咀嚼させながら読み進められる本格ファンタジーだと思います。
毎話更新を楽しみにしています。