第6話 新しい困りごとと女の子
あのストーカー事件から次の日、俺と三夏は駅で待ち合わせをして一緒に登校していた。
なぜなのか俺には開幕見当もつかない、だが三夏が何かしらの考えを持ってやっているのだろうから首を突っ込まないようにした。
〜三夏視点〜
昨日のことがあってから、優希くんが格好よく見える気がする。
どうしてなんだろう、まさか私は彼に、、、
そんなことを考えているうちに私たちは学校に到着していた。
俺は学校に到着してすぐに下駄箱に向かうのがルーティーンだ、生憎友達と呼べる人がまだ三夏しかいないもんだからな。
三夏が靴箱から階段へ向かってくるのを見た俺は、階段を一段一段登り始めたのだった。
教室にて、俺は先生と少し話をしていた。聞いたところによると近々学校の有志者だけがやる地域清掃ボランティアがあるらしい、だが俺は「ボランティアの参加をお断りさせていただきます」ときっぱり断ったのだったが、それを聞きつけた三夏が『優希くんは参加します!』なんて言うもんだから先生もノリノリで同意書を押し付けてきたのだ。後で三夏しばく、、、と心の中で思ったのだった。
ボランティア当日、まだ夏真っ盛りということで気温が37度を超えておりとても暑い状況だった。
「なんで俺がこんな目に、、」
『文句言ってる暇はないよ!どんどん行こう!』とノリノリの三夏。
なんでこいつはこんなに元気なんだと、
とても疑問だったが、また何か考え込むと三夏に注意されるような気がして、考えることをやめたのだった。
ボランティア開始から一時間経った頃俺はもう汗びっしょりでとてもくたびれていた、それは三夏も同じらしく彼女もまた肩で息をしていた。
するとそこに、小学校4年生くらいの女の子と、2年生くらいの男の子が涙目で歩いているのを見かけた。
俺と三夏は迷子の可能性があるから話を聞きに行こうという結論になり、
「君たちどうして泣いているんだい?迷子かな?」
と俺が聞くと、その子たちはうん、、と言って泣き出してしまったので俺たちは宥めるのでも少し苦労したのだった。
その子たちに事情を聞くと、お姉ちゃんと一緒にボランティアに来たらしいけどその途中でお姉ちゃんとはぐれてしまったらしい。そのお姉さんは絹高の2年生、俺たちと同学年らしい、そしてその人の名前は、
『同じクラスの子だよ!金髪で優しそうな女の子!』
「そんな子いた様な、、いなかったような、、」
と俺は皆さんお気づきの通り三夏以外の人とろくに喋っていないのであまり人の名前を覚えていないのだ。
『事情は分かったから一緒にお姉さんを探そう!』
と三夏が先陣を切って進んでくれていた。
その間俺はというと金髪というのを目印に、あたりを探していた、目立つ髪色だからすぐ見つかるだろうと思っていた俺だったが、まさか探すのに二時間もかかるとはこの頃思ってもいなかったのだ。
探し始めて約二時間が経った頃ボランティアの終了時刻ぐらいだったので校門の近くに戻ることにしたのだ、そして俺達と同じ学園と組ならば担任の先生の前に集合なのでわかるはずだと踏んだからでもある。
そして俺たちが校門の近くで待機していると、金髪の整った顔の美少女が現れたのだった、そして俺たちを見つけるなり、すぐお礼を言ってきたあたり、すごくきっちりした子なんだろうなぁと思っていた。
『この子たちを見つけていただいて本当にありがとうございました、優希さん、三夏さん』
「俺たちにさん付けはいらないよ。」
『そうそう、私たちのことは呼び捨てでもいいよ!』
『そんなことできません、、私はさんのままでいかせていただきます』と頑なに認めなかったのだ。
『あっ、自己紹介が遅れましたね、優希さん改めまして、私は星宮彩花と申します。以後お見知り置きを、私のことは彩花とお呼びください』
とお辞儀までしてきたのだ、どこかのお嬢様のような風格と気品の持ち主であることは」俺にもすぐに分かった。
「ところで俺たちが連れてきたこの子たちとの彩花の関係は?」
と俺が質問すると、
『私の妹の
ボランティアに一緒に行きたいというものですから先生に許可を取って連れてきたんですが、その矢先にはぐれてしまってボランティアの時間も終わってしまうし、どうしましょうと考えていたのです。
ですがそんな気分で校門へ向かうと、この子達を連れた優希さんと三夏さんを発見したという感じです』
そんなことを俺達が話していると、解散の合図が出たので俺は彩花にまた明日なと告げると、彩花が紙を手渡してきたので何か聞いてみると、
「これ私の連絡先です、また後日改めてお礼がしたいので」とのことらしい。
彩花と学校で別れた後俺は彩花に渡された連絡先を登録しながら、昨日と同じように三夏を家まで送るのだった。
今日も疲れたなあ、、と三夏を家まで送り届けた後俺はそう呟き、一人電車に揺られるのだった。
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