これが、私の恋なんだ

美しく、透明感をまとった文章に、まず心を掴まれました。一文一文が本当に綺麗で、魅了されます。
そんな魅力的な文章で描かれる、藍の感情の動き。ただ純粋に、どうしようもなく涼音が好きで。だけどうせ叶わない恋だから、諦めなければいけない。なのに涼音の幸せを願えない自分が嫌だ。そんな彼女の心情描写がリアルで、繊細な情景描写と相まって藍の葛藤、苦しみが切実に伝わってきました。
最後の海のシーンが本当に好きです。海に入っていくのを「少しずつ世界から消えていけるような気がした」と表現されていて、天才だと思いました。
切ないけれど、藍が「涼音が好き」という感情をちゃんと認めて、大事にしていこうとするラストは希望を感じることができます。
ラムネみたいなこの恋は、きっといつか彼女にとって、宝物になるはず。これから先の彼女の人生が、少しでも明るいものになればいいなと思います。
素敵なお話をありがとうございました。