突然だが、このレビューを読んでる君の思い出はなんだろう。それも、小学校から中学高校、つまるところ『子供時代』の思い出だ。初恋か、友達とのドッチボールか、それともみんなでプレイした3D◯か。
いずれにせよ、世界には人の数だけ思い出がある。つい最近だと思っていた事も、気付けばもう十年前だったりする。当然、世界も大きく変わってしまったものだ。当然、もうこの先二度と現れない思い出だってある筈だ。そう、このエッセイに出てくる『レトロゲーム故のセーブデータの悲劇』、『修学旅行で襲い掛かった借り物トランプの惨劇』みたいに……
読んでいると、かつての記憶が蘇って懐かしい気分を味わえる……かもしれない。
エッセイ風に語られる思い出。でもジャンルはよく見たら「現代ドラマ」。さあ、作者様の実経験がどのくらいの割合で入っているのかわかりませんが…。
でも、拝読してみると、不思議に懐かしいのです。お話そのものよりも、その状況でのふとした感情、というか。「ああ、状況違うんだけど、なんだかこの気持ちは経験したことがあるな」と。そこに反応して、自分のことも思い出して「そういえばこんなことあったなあ」と思い起こされます。そうした感情の書き出し方、文章での再構成の仕方というのが、とても上手だから、読んでいてごく自然に共感してしまうのだと思います。デジタルデータに変換した写真じゃなく、あえてアナログなまま、長い年月の光を浴びて退色してしまった、写真というより絵葉書を見返しているような懐かしさがあります。
コーヒーやお茶を傾けながら、のんびりと読んでみてはいかがでしょうか。 ただし吹いちゃうお話もあるので、お茶を飲み込むタイミングでは画面から目をそらした方がいいかな…。