第14話 活路
「この期に及んでそんな
龍吾さんは心底馬鹿にしたような目と笑いでウチを見下した。
「龍吾さんは
「言っている意味が全く分からんな。見ろ、蝋燭は2つだ。先ほど この
龍吾さんはウチの言葉を否定しつつも話は聞いてはくれるようだった。
「この部屋は畳に置かれた小さな間接照明だけ。見晴らしはものすごく悪い。そして
「可能性?」
「蝋燭は減ったんじゃなくて、置く配置変わっていただけなんじゃないかって思ったんです。つまり、見えているあの2本の蝋燭の先にも、『もう2つの蝋燭』があるんじゃないかって」
「何っ········!?」
龍吾さんの目が大きく見開いたのが分かった。
「これは
龍吾さんは真っ直ぐにウチを見る。
「ふざけるな!! そんなめでたい発想など、私は思い付きもしないよ! そんなお花畑な話、これ以上聞くのは不愉快だ!! 私は
龍吾さんはそう言うと、颯爽と歩き、蝋燭に
「貴様が何と言おうと私の勝ちは変わらない! 私はやるべき事をするだけだ!!」
龍吾さんは怒気が混じったような声でウチに言葉を吐き捨てる。
「未緒さん、
「でも、蒼さんは····」
「良いんです。これはあくまで、ウチの話す仮の話なので」
ウチがそう言うと、未緒さんは何も言わずに進み、ゆっくりと
ゴトンっ!!!!!
そしてまた、蝋燭の真後ろの畳が崩れ落ち、更なる地下への階段が現れる。
すると、龍吾さんが驚愕したような口調で蝋燭を見つめた。
「どういう事だ!? 何故蝋燭が倒れない!? 仕掛けが動いたら倒れる仕組みじゃ無いのか!?」
ウチはそんな様子の龍吾さんを他所に、蝋燭の奥へとゆっくり足を進めた。生きたい訳でも、死にたい訳でもない。ただ、この
ウチは2人が
そして蝋燭近くの間接照明も光も届かなくなってきた先に、何かが置いてある。
「ある····もう2本の蝋燭が······」
ウチが推測していた通り、間接照明の光が届かない範囲に、2本の蝋燭が置いてあった。
ウチはその1本に
蝋燭の
「やった·····!!」
ウチは小さく喜んだ。やっぱりこの試練は、全員が争うことなく生き残れる試練だったんだ。
グラッ―――――――
どうやら生きている者全員が蝋燭に
さっきの部屋では、龍吾さんが浄眞さんの
どこまでも想狐さんに遊ばれている。本当に意地の悪い試練だ。
「私は、奪わなくていい命をこの手で奪ってしまったというのか······私が、勝手な解釈をしたばかりに····」
龍吾さんは激しく動揺していた。生き残りだと思って周りを蹴落としたら、実は全員生き残れたなんて知ったら、とてつもない罪悪感に襲われるだろう。
これが想狐さんが見たかった、人の絶望の顔····。
本当は最後の部屋でゆっくり味わうつもりだったのだろうか。
ウチらはゆっくりと更に地下へと降りていった。
そして蝋燭はやはりあった。
縦一列に、そして間接照明の光がしっかりと届く位置に。
「蒼さん、やりましたね·····私たち、これで
「だと思います未緒さん····本当に良かった·····」
ウチと未緒さんは喜びを分かち合う。
そして、ゆっくりと
「さぁ、龍吾さんも――――」
ウチがそう言い振り返ると、龍吾さんは下を向いていた、
「龍吾さん····?」
龍吾さんは大きな覚悟を決めたような顔で俯きながらもしっかりと話す。
「私は、この先へは行けないよ。どうか私の
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます