43話 ふりかえろ〜! 3

 出された画像はマオ先輩が手を伸ばしているところ。一歩を踏み出し未来に向かうために手を伸ばす。それは彼女が歩んできた道を象徴しているようだと思う。

 彼女はカラーズに最初からいて活動してきた。右も左も分からない状態で前へと進み続けた。どれほど大変なことだったかは想像がつかない。それでもこれまで歩んできていてくれたから、魔王様に……マオ先輩に出会うことができた。


「この場面良すぎますよ!もう泣きそうです!!」

「あかっち……わかる、わかるよ……」


ミツ先輩が私の肩に手をおき同意してくる。ちょっとうるうるしているのでミツ先輩も泣きそうなのである。マオ先輩の表情も良すぎるから余計に感動するのだ。


「泣かせようと思っていたわけではないのだけどねぇ」


:あの表情で泣かせるつもりはない、だと⁈

:恐ろしい魔王様ですこと⁈

:まだ前に向かって突き進んでいく魔王様を応援して参りますわ‼︎

:椅子から立ち上がる魔王様もカッコよかったですわよ‼︎

:魔王様はすらっとしておられるからどんな格好でも最高ですわね‼︎

:どんな格好でもというより、どんな表情でもいいと言いたかったのではないかしら⁈

:あらそうなんですのよ!どうもありがとう‼︎

:我々もまだまだ魔王様たちの魅力に気づいていかねばなりませんわね!


「あの、もうつっこんでいいです?なんで急にお嬢様口調なの⁈いつものみなさんはどこに⁈私に対して強気なみなさんはどこにいったんですか⁈」

「あかっち…それ自分で言ってて悲しくない?」


 悲しくはない。だっていつもの調子のリスナーさんが好きだから。お嬢様口調でも私たちのことを考えてくれてるの好きですけどね。


「まあまあ、きっと泣きそうなところを笑わせようとしてくれたのだと思うよ。魔王様もやみたちには笑っていてほしいな」


:さっすが魔王様!我々のことわかってくださってるぅ‼︎

:そこにしびあこ

:一瞬しびあかに見えた俺の目は狂ってる

:どんだけあかちゃん好きなんだよ

:あかちゃんはやみちゃんの別人格らしいけどな

:やみちゃんもあかちゃんもどっちも面白い女よ

:たしかに面白い女ではある


「おもしれえ女になりたいとは思ってきましたが面白い女とは言われたくない。そんな思いなあかちゃんでございます」

「楽しんで見てくれてるってことなんじゃない?」

「やみもあかも面白い子だからねえ」


:先輩にも肯定されとる

:おもしれえ女と言われたい願望があったとはな

:俺様系が好きなんかな?

:乙女ゲーで選んでたの全然違うのだったよな

:自分に似たようなキャラを落としたかったんだろ

:そんな趣味があったとはな……


「勝手に想像して引かないでくれません⁈自分に似たの落とす趣味とかないです‼︎」


 なんだかどんどん脱線してきている気がする。私たちらしくていいかもしれないけれどね。


「あかっちいじるのもここまでにして次いっちゃおっか!次で最後かな」

「そうだね。最後に歌った曲の時のだ」


 ミツ先輩が脱線していたのを戻してくれた。私はいじられていたらしいけど別に気にしてないしいいや。

 それより出された画像の方に注目したいし。

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