第34話閉じ込められてから
「…どこからも出られないし…暫くしたら愛辺りが俺達の事に気がついて助けに来てくれるだろうから大人しく座って待ってようぜ…?汚いけど…」
窓が無く、明かりもない。部屋の中は当然真っ暗だ。暗闇に慣れると案外ある程度は見えるもんだが、あんまり無闇に動かない方がいいと俺は判断する。少しずつ目は慣れてきたけど…全てがハッキリと見える訳じゃないからな…。
危ないしな。
「あっ…う、うん…そ、そうね…」
余計な体力も今は使わない方がいいかと思い俺はその場に腰を降ろした。
「っ!? すんすん…」
すると…なにやら自分の匂いを嗅いでいるような仕草をしている優花の姿がぼんやりと視界に入った気がした。微妙にそういうのは分かるんだよなぁ。何してるんだろうな?それから優花はちょこんという感じに俺の肩と優花の肩が微かに触れる近い距離へと座り込んだ。
「ち、近くない?」
「ふ、普通よ!これくらいは普通でしょ!」
もしかして…怖いのだろうか?まあ、突然閉じ込められた訳だしな。パニックになっていないだけマシというものだろう。
「さっきは何してたんだ?」
「べ…別に…何も…ただ…は、走った後だし…汗嗅いちゃってるから…その…に、匂いが気になって…大丈夫か確かめてたっていうか…」
俺は何を気にしてるんだとばかりに無意識に優花に顔を近付けて…
すんすん…
「ちょっ!?もランマっ!?」
「優花からは汗の匂いどころかいい匂いしかしないけど?」
ホントに走って汗を嗅いた後なのかと疑問に思うほどだ。それどころかいつもよりも甘いいい香りがする気が…。
「も、もぅ…ばかっ…(かぁ~~~)」
「あっ…悪い」
考えてみるとセクハラだよな?なんだかんだで付き合いが長いせいか俺も距離感を間違えてしまっているな…。
気をつけないとな。
それと…さっきのチョモンランマって何だろうな?口に出したら絶対に怒られるから言わないけど…
「そ、そういえば優花が水筒を持って来てたのは幸いだったな?」
「あっ、そ、そうね。ただ…飲み過ぎちゃうと…困る事になりそうだけどね…」
ああ…トイレな…。確かにそれは心配かぁ…。真っ暗とはいえ女の子だからできないか…。こういう時男は楽なんたけどな。まあ、そんなに長い時間閉じ込められる事もないだろう…。
ないよな?
「悪いんだけど…少しもらってもいいか?」
「うん、はい」
「サンキュー…ゴクッゴクッ…ふぅ~~~。優花も一口位は水分を含んでおけよ?脱水症状なんてなったら大変だしな…ほい」
「そうね…暑いし飲んでおいた方がいいよね。ゴクッ………(って…あ、あれっ……?こここ、これって………間接キスかのでは…あばばばばっ…)」
「どうかした?」
「ふぇっ!?にゃ、にゃんでもにゃいからっ!?」
「そ、そうか?」
「そ、そうよっ!にゃんでもないにょっ!」
何でもないようには感じないんだが…あっ!?
「悪い…俺が口つけちまったから間接キスとか気にしてる?」
「にゃんでそこにこういう時には気が付くのよっ!?いつも鈍感な癖にっ!?」
「酷くねっ!?」
「ああ、もう!…べ、別に…豊和君なら…い、嫌じゃないから…と、とにかく…何も言わないで…」
「あ、ああ…」
♢♢♢
──あれから2時間以上は経過しただろうか。正確な時間は流石に分からないけど、体感的にはそんな風に感じる…。
「流石に愛が気がついてる頃だと思うんだが…優花が帰ってこないって…」
「…そういえばさぁ…前から思っていたんだけど…豊和君の中でやけに愛の評価が高くない?なんか頼りにしている気がするんだけど」
「そうかな?いや、まあ…実際愛は頼りになるし…」
「…そっかぁ…あれ…?それって…。ね、ねえ、もしかして豊和君って愛みたいな女性が…タイプって事…なの?」
優花の表情はハッキリと分からないけど…その声にはなんだか少し不安そうなものが混じっているようにも聞こえる。
「いや…タイプとかそういうのは一度も思った事はないけど…まあ…綺麗だとは思うよ?優花も自分の義妹なんだし、そう思うんじゃないの?」
「…ふ、ふ~ん…と、豊和君には…愛が綺麗に映ってるんだね…ふ~ん…へぇ~…ほぅ~…」
今度は一転、なんだか不機嫌そうなんだがっ!?アレか!?同性を褒めるなら私を一番褒めろとかそういった感じなのかっ!?
そういえばそんな事が書かれていたのを本で読んだ事があるな…。
「言うまでもないけど…優花が一番綺麗で可愛いのは言わなくても分かってるだろ?」
「…ふぁっ!?」
突然大声でふぁっ──ってなんだよ!?そんな驚く様な事は言ってないだろうに!? ビックリしたぞ、もう…。
「きゅ、急にっ!?も、もう…そ、そういうのは良くないからだからねっ!?反省してっ!?」
「…何を反省するのか分からんが…一応了承しておくよ」
女性と接するのは本当に難しいもんだな。それが家族みたいな存在でも…。
「あれっ…」
「んっ?どうした優花?」
「コレ…なんだろ?手に取ると…何だか子瓶みたい…振ると水音がするから何か入っているみたいよ」
子瓶?何か入ってる…?物凄く嫌な予感がするのは何故だ…?何だろ…何かが心に引っ掛かる様なこの感じ…
「ゆ、優花…変な物に触るなよ?それとそんなもの振るんじゃない。フルフルフ◯ンタじゃないんだぞ?」
最近見かけないんだが…売ってるのか?
「えっ…うん…分かって…きゃあ―ッ!?」
「どうした優花っ!?」
“──パリンッ!”
いや…パリンって…優花よ…。もしかして子瓶を放り投げた?投げたよな?やってるじゃん!?
「むむむむむむ、虫ぃー!?手に虫がぁー!?ととととと、豊和君!早く取ってぇーっ!?」
「はいはい、ほらっ、もう大丈夫大丈夫…大丈夫だから落ち着け…」
たぶん蜘蛛か何かだろうと思った俺は優花の手からそれを払ってあげて、もう虫はいないから大丈夫だと、落ち着くように頭を撫でてあげる事に…。
まあ、急に虫が手についたら女性なら特にビックリするか…。しかも真っ暗だしな…。
そう思っていると今度は俺がビックリする事に…。
優花が突然俺の首に腕を回し抱きついてきたんだ…。 向かい合わせになり俺の頬に優花は自身の頬をピッタリと重ねてくる。
その体は震えている…。
「…虫…嫌ぁ…凄く怖かったの…気色悪かったの…」
「もう…大丈夫って言ってるだろ?バイバイしちゃったから」
「…うんっ…」
よっぽど怖かったんだろうな…。優花が虫がこんなに苦手だとは…いや…ゴキブリの時もこう子供みたいになってたの思い出した俺は苦笑するしかない。
そういうところも優花は可愛いし…そう思わせられるのがヒロインの本来の魅力なのかも知れない…。
いや…優花自身の魅力かな…。
♢
──そのまままた時間だけが過ぎていき…
「ねぇ…豊和…はぁはぁ」
「うん?優花今度はどうした?」
「…しよ?」
「……えっ?」
「だから…私と…セックスしよ…?」
♢♢♢
新作を公開していますのでそちらも是非一読を!
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