第23話
空の色は紫から通り抜けて夜の灯火が道筋に並び、いつも見て走っていた道路の様相になっていた。大きな視野で色と形を探す明敏な意識の昼はすでに閉ざされていて、暗くなる分だけ不安が増すよりは、盤上にひっくり返って勢いを増す他人格が目を開くようでもあった(モウ看板カラ豊田ハ消エタ)。
(一発逆転ノ電話ヲクレタ本人コソねっとわぁぁくびじねすニハメタ張本人ダトシテモ、避ケル事ニハナラナイ、ムシロ信用ニ値スル、ナニセアノ考エ方ト仕組ミヲ学ンダ奴ダ、社長ノ息子トイウ特権階級ニ生マレツイタ、口ガ達者デ胡散臭イ、ケレド金持チニナルコトガ義務付ケラレテイル野郎ダ)──誘イノ調子ハ似テイタ、過去ノ事ナド持チ出サズ、不貞不貞シイ口調デめりっとバカリ口ニシテ、遠慮ナク呼ビ込モウトスル──(悪イナンテコレッポッチモ考エチャイナイ、他人ナンテドウデモイイト思ッテイルカラ、イケシャアシャアト文句ガ言エルンダ)──同ジ着信番号ニ同ジ携帯電話デモ、状況ハ半年デ変転スル──(デモ、事前学習ト考エレバ、ねっとわぁぁくびじねすハ必要ナ段階ト失敗ダッタ、ソシテ今回ハ学ンダ事ヲ実践スルびじねすちゃんすダ、ナニセ名古屋万博デ働ケル、ソレモ副店長ノ位ダ)──ふぁみりぃぃれすとらんデ電話帳ヲ開イテ作戦会議シタ共有ノ時間ハ本物ダッタ、目的ト計画ハ別ダッタトシテモ、共ニ仲間ヲ増ヤソウト苦労ヲ分カチアッタ量ハ──(何事モ水ニ流サレテシマウンダ)信号が青になった瞬間にアクセルを開いた。
(分岐点ハ滝ノヨウニ近寄リ辛イ)──信号ヲ待ツ、動脈ノ連結点ヲ目ノ前ニ、大キク番号モ変エル大キナ方向転換ハ、一ツハ海ノ方ヘ、一ツハ川ノ方ヘ、進ム一ツハ自動二輪車ノ教習所ガアリ、ソノ先ハ、見果テヌ想像ヲ絶シタ山ノ方ダ、ソレガ16号線ニ巨大ナ節ヲ生ミ出ス、コレコソ橋本ノ五差路ダ──(ケド大人ニナッテ経験ヲ積メバ、ソレホド焦ルコトモナイ、原付デモナインダ、信号ト道路標識ニ従イ、前ノ車ニ流レテイケバ)地図上で難関と思われていた交差点を二段に曲がった。八王子に近い五差路の方が都心よりもはるかに遠く、より地方に思われる愛知ほど首都圏らしい交通量が速度に乗って、心なしか、自動車の流れは加速したようだった。帰宅に向かう車の群が逸っているのか、ビッグスクーターが今日という一日の運転に上達して道路に慣れたのか、それとも、終点に近づく心持ちがスパートをかけているのか──校庭ヲ五十周スル練習ノ残リ五周ニナリ、息ハ苦シクテモ軽快デ一定ノ走リガ瞑想ト集中ノ内ニ足ヲ動カシ続ケテイル──、関東よりも全体の動きがテンポを上げているように思えた。
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