第22話

 (目ノ前ハイツモ景色ニ広ガッテイタケレド、色モ形モ実際ハ何モ持ッテイナカッタ、遠イ先ノ死ナンカ非現実ダ、ソレヨリモ前ニヤッテクル就職モ、アリエナイ事実ダッタンダ)初春の湿気が薄暗がりから立ち上ってきたらしく、草いきれが排気ガスと混ざらずに走る体に当たってきた──指ニヘバリツイタ樹脂ヲ嗅グト発酵シタヨウナ粉ッポイ香リガシタ──。

 ──茶色ノ、枯レ葉ミタイナ塊ハ、火ヲ着ケルト堆肥ノヨウダッタ、黄緑ノ鮮ヤカナ色ヲモッタ鱗粉ハ、火ヲ着ケルトフクヨカナ甘ミデ化粧ノヨウダッタ──冷気がさっと過ぎると股間がやたらにうずき始めた(徐徐ニ近ヅイテイルンダ)。

 ネットワークビジネスが友人関係も瓦解させ、労働者と投資家の棲み分けに仕組まれた社会のからくりを教えてくれた。遊びはもはや終わり、これからはビジネスを打ち立てるか、もしくはそれらを道具に金を増殖させる。わからない奴は、わからないままでしかいられない。知った者は、もはやそちらへ戻らない──ふらんちゃいずノ古本屋ヲ回リ、自己啓発ニ関スル書籍ヲ買イ漁リ、卒業前ノ学業ヲ放ッテ熟読スル、参考書ニモ使ッタコトノナイ三色ぼぉぉるぺんデ線ヲ分ケテ──。

 (学校教育トハ、従順ナ労働者ヲ作リ上ゲル教育しすてむダ、ソコカラ外レヨウト無意識ガ働イタノハ、生マレツイテノ正解者ナンダ)──あるばいとガ校外ニチラホラシテイル、あめりかんばいくノ改造費ヤラ、びっぐすくぅぅたぁぁノろぉぉんヤラ、波ニ乗ル板ヤうぇっとすぅぅつニがそりん代ヤラ、夜ノくらぶ活動ノ薬物資金ヤラ──中学校を卒業する前からヒップホップの洋服屋で働いていたのは、選ばれた者の行為だった。(四ツノかてごりぃぃガアルノカ、ナルホド、労働者、自営業、会社社長、ソシテ、自由ガ許サレル投資家カ)金はあればあるだけ細かな花粉が膨大な生活費を生み出す──ぐらむノ隣ノ秤デハ、きろデ盛ラレタ大麻ノ花房──。いつかコカインへと薬物もグレードアップするか──あじあデ得ラレルノハ大概大麻カ、中東地域ナラ阿片ヤはししカ、トコロガ海ヲ越エタ中南米ナラ、飲料めぇぇかぁぁノ商業資本ノ原料ニモナッタこかダ──株式を根っこに為替や先物取引など、金融商品は種類を増やし、投資の対象は人間も含めたあらゆる物になる──(発展途上国ヲ旅行シテ、視察シ、集中シテ未来ニ賭ケル、タダシ単ナル博打ジャナイ、ふぁんだめんたるデアッテ、てくにかるナ指標ヲ元ニシタ、経験カラナル予測ダ)。

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