　──風ヲ一杯ニ受ケテモ汗ヲカククライ外気ニ熱ガコモッテイルノハ、陽射シノセイカ、ソレデモ山道ニ入レバ水気ガヨリ濃ク匂ワセテ温度ヲ下ゲル、光ト陰ニ青空ト緑葉ガ交互シテ、空気ニセセラグノデハナク、すくぅぅたぁぁガ走ッテ色ヅキヲ移ロワサセル──。

　──迷ッテモ構ワナイ多摩丘陵ノ続キダ、煙ハコレ以上先ガナイホド肺ニ含マレ、頭ノ計算ハ働カナイ、ソレヨリ運転ノナスガママニ、緑陰ヲ追ッテ道ヲ高低ニ進ム──。

　──高速道路ノ街灯ガ宇宙ヘ連レテイッテクレル、誰ノ誘イデ始マリ、コウシテ百台以上ノ群ニ含マレルノカ、周リハ見知ラヌ不良バカリ、街ノ道路デ遭遇スレバ、緊張ヲ走ラセル暴力ノ魔物バカリダ、ソレガ今ハ、ソレラ眷属ノ一員トシテ道路交通法ヲ無視シテイル──。

　──交通量ノ少ナイ山道ハかぁぁぶガ多ク、台数ガ集マレバ自然トれぇぇすニナル、行儀ノ良イ大人ノつぅぅりんぐデハナイ、取得シテ一年モ経タナイ未成年ダ、先ノ事ナド考エナイ夢中ハ、前ノばいくヲ追ッテ曲ガルト、突然対向車ガヤッテクル──。

　──群ニ飲マレタ自動車ハばいくノ洪水ニ黙ッテイル、無数ノ目線ハ野生動物ヨリモ質悪ク覗キ込ミ、ぼでぃヲ足蹴ニスル者モイル、逆ノ立場ハ幾ラデモナリ得ル、シカシ今ハ集団ガ保有スル権力ノオコボレトシテ、すいみぃぃノ造形ハ弱イ者苛メヲスル──。

　──学校ヲサボルノハ一人ダケ、アレダケ友人ト馴染メタ十代ハ、毎年ゴトニ人生ヲ退屈ニサセル、薬物ナド欲サナイ熱ト本能ハ、今ハ理性ガ生キ方ヲ疑ッテイル、目ノ前カラ逃ゲルダケノ走リダ、勉強ナドシタクナイ、イツマデモ大麻ヲ吸ッテ、感覚ト遊ンデイタイ──。

　上り坂はなだらかだったが割合長く、善波峠を超えると景色が遠望できた。神奈川県の中央を感じる山際は、おそらく丹沢も近く、さらに向こうは夜景の綺麗な峠もあると考えると、濃い緑の湖が未開の奥へと道をくねらせるように思えた。

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