第17話「秘密と秘密」

20XX年4月18日15時30分。東京・高尾、旅館の部屋、朝顔。


「さて、私は早めにお風呂入ってくるね。」

「おう、わかった。俺はちょっとひと眠りするよ。」


20XX年4月18日17時29分。東京・高尾、旅館の部屋、朝顔。


2時間くらい寝たのだろうか。部屋を見るとリリスも優姫もまだ帰ってきていなかった。

俺は置手紙を残して高尾の街を歩いてみることにした。

歩いている途中に駄菓子屋があったので駄菓子屋のご主人と話ができた。


「なんだい???高尾の鬼のことを聞きたいのかい???」

「そうなんですよ。鬼っていうと怖いイメージですけど何か怖い思いは???」

「なぁにいってんだい。怖いもんはありやせんよ。むしろ彼らには感謝してるんだ。彼らがこの町の警察であり、消防でありって感じだよ。」

「なるほど。」

「それにしてもあんた見ない顔だね。旅人かい???」

「まぁそんなところです。」

「まぁ悪いことは言わない。ここで鬼のことを詮索しない方がいい。」

「そうなんですね。」

「この町は『秘密警察』が走ってるからな。どこで何を聞いてるかはわからないからな。」

「秘密警察ですか・・・???」

「まぁ、あるのかわからんけどな。気を付けるんだぞ。」

「ありがとうございます。気をつけますね。」


駄菓子屋で駄菓子をいくつか買って部屋に戻った。

リリスも優姫も戻ってきていた。


20XX年4月18日19時01分。東京・高尾、旅館の部屋、朝顔。


「秘密警察か・・・。」

「秘密警察って何???」

「市民にまぎれて不穏分子を監視するのが重要な任務のひとつとなるので、通常は私服で市民と見分けがつかない。そのため、政治警察はその秘密めいた活動から、秘密警察と一般に言われている。だってさ。」

「そんなものがなぜあるんだ・・・。」

「わからないけど、この会話もどこかで聞かれてるかもしれないってことだな。」

「とにかく聞かれてる前提で話した方がいいな。」


僕らはこれから筆談でしゃべることにした。


20XX年4月18日19時12分。東京・高尾、大山屋敷。


「それで??主人。ってことは、我々のこと、秘密警察のことを話したってことだな。」

「申し訳ありません!!!!」

「いやいや、許されるわけないだろ??」

「そこをなんとか・・・。」


「まぁいい。今日は戻れ。帰って寝ろ。」

「は、、、はい。」

「まぁ心配するな。明日の朝にはどう決着するかわかるからな。」

「よかったな。」


20XX年4月18日19時22分。東京・高尾、大山屋敷。


「どうしますか。」

「うん??どうするもなにもないさ。焼き払え。主人や関係者は刑場にさらせ。」

「かしこまりました。」


20XX年4月18日20時27分。東京・高尾、旅館の部屋、朝顔。


ホテルの外側からサイレンが結構鳴り響いていた。


「なんだろうな。」

「火事かな。まぁ、火の用心だから私たちも気をつけましょうね。」

「まぁ明日は朝から仕事だ。早めに寝ようか。」



20XX年4月18日21時34分。東京・高尾、大山屋敷。


「無事処理は終わりました。」

「日付が変わって、明日になったらさらしておけ。あと立札もな。」

「かしこまりました。」


20XX年4月19日5時39分。東京・高尾、大山屋敷の前の川。


バイト潜入に向けて早めに動いていた。

こんな朝なのに川沿いに人がたくさん立っていた。


「なんだこの人だかりは・・・。」

「大和あれって人じゃない???」


優姫が指をさす方向へ目を向けると、磔にされている人たちがいた。


「あの真ん中の人って・・・。」


駄菓子屋の主人だった。立札には、名前と罪状が書かれていた。

しばらくすると、火事の残骸を運び彼らの前に置かれた。

そして彼らの前に執行人が現れた。


「反省したか??我々のことを話した罪である。」

「あと16分もすれば日は昇から暖かくなるさ・・・。」


「大和。あれ助けられないかな???」

「よしやってみるか。」

「3秒後に突撃しよう。」


「3」

「2」

「1」


「突撃開始」

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