「俺は、あいの言ってる話の1%くらいは実は創作か……、

「俺は、あいの言ってる話の1%くらいは実は創作か……、それかあいだけが見てしまっている夢まぼろしみたいなもんで現実には起きていないって可能性を考えていたんだが、そうはないみたいだな」

 ――ばっちり現実だ。大変残念なことに。

 ひゅーとキザっぽく口笛吹くタメダ。

「ふーふー」言ってるおばあちゃん。おばあちゃんを掴みつつ、警戒した表情を滲ませるお姉さん、すやすや寝ている赤ちゃんお母さん、犬にべろんべろん舐められつつも、こっちには無関心を決め込むコミちゃん。


 幻じゃない。現実だ。


「そんなこと考えてたのか。反省しろ」

「おう。すまんな」

「ふーん」

 タメダはポケットに手をつっこみながらお母さんたちを観察する。そうして家の中をじろじろと見やる。

「色々話を聞きたいところだが、どこからいくべきか……」

 タメダは頭上を見、ぼやいた。その視線がゆっくりと壁に飾られてあるコルクボードへといった。ゆっくりと歩を進める。何も云わずにタメダを見守るしかないわたしたち。くっと腰を折っていつか撮った家族写真をじっくりと眺めている。

 そこには家族三人で撮った写真が並んでいる。

 お母さんと。

 お父さんと。

 わたしと。

 お母さんはひとりだ。当たり前。

「深堀りする前に現実的な問題からだな」

 タメダのそのぼやきはどこか覚悟を帯びた響きだった。わたしは知らず、かゆくもないのに頬をかいている。タメダが腰を戻し、そうしてゆっくりと振り向いた。口が開く。


「あいのお母さんは元ヤンなのか?」


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