そっかぁ~! ここの温泉って美肌効果すごいんだね~っ!
そっかぁ~! ここの温泉って美肌効果すごいんだね~っ!
って、そんなわけない。
ここは温泉じゃなくて銭湯だし、例え温泉だったとしても聞いた話、半日も経過していないらしいのに、そんな深手の傷が治ってたまるか。
「どういうからくり……?」
我ながらからくりはどうかと思うが、いちいち適切な例えなんて、ボキャ貧で人生経験積んでないわたしは探している余裕がない。
それくらい、目の前のすべすべたまご肌に驚いているわたしがいる。
コミちゃんは一瞬またわたしが悪戯しようとしているのかと顔を顰めたが、恐る恐るとした手つきを見て、思い直したようだ。されるに任せた。
「ね」
「ねて」
確かに治っちゃいるけど。
「ざぶ~ん!」
「走んな」
口から発せられたオノマトペにぎょっとして首を巡らせたが、どうやら未遂に終わったらしい。洗いっこし終えたふたりがぺたぺたと歩いてきた。赤ちゃんお母さんは駆け出さないようにお姉さんに引っ掴まれている。
一度歩いたらもう早いっていうもんね……。にしても早いって思うが、比較対象がいないからわかんないし、赤ちゃんお母さんの場合、比較可能な対象がいないんだけどさ。
「コミちゃんは人間なの?」
核心。
突くつもりのなかった核となる質問。
たぶん、ずっとタメダから渡されたメモが引っ掛かっていたんだと思う。今もタメダのメモはわたしのぽっけにぐしゃぐしゃで詰まっている。
『四人の中一人が他三人を統合している?
そもそも四人とも四人が独立した意思を持っているのか。
どこまでそれっぽく人間なのか。
てか人間か?
身体的機能は人間と同一か。
乗っ取りというのは有り得るのか。
一人が本物のあいつの母親で他三人が違うという可能性は。
もっと単純に実は四つ子(五つ子?)だった可能性は』
コミちゃんは言う。実にあっさり
「違うよ」
と。
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