北極星を追いかけて

桜田実里

Prologue

Prologue

 放課後。

 窓から差し込む夕日が、棚に収められた本の背表紙をじっくりと焼いていく。


「———え、夢?」


 鉛筆の芯が紙をこすり、その拍子にわずかな黒鉛が飛んだ。

 大きな紙。薄い文字で書かれたのは、『秋のおすすめ本紹介』。



「はい。将来の夢、なにかなって」


 座る少女と、本を抱える少年。二人の濃い影が、少しだけ距離を縮める。



「うーん、ゆめ、かあ。…………あ」


 鉛筆を顎に当てるようにして上を向き、考える少女。

 だけどすぐに、顔を元に戻した。

 そして、少年のほうを見る。


「なにか、思いつきました?」


「うん、えっと——————。」




 —————昼間でも、夜でも、見えない星。暗闇に隠れた、光。

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