赤変種

1010年ソード領のとある村で赤いネズミが発見された。当時からネズミは伝染病拡大の原因だと考えられていたため駆除しようという動きが起こった。しかしその赤いネズミはすばしっこくて誰も捕まえられなかった。村にいたネズミ捕りの出張を生業にしていた男でも捕まえられなかった。猫でさえもそのネズミを取り逃がした。夕飯時に家々を周り食卓に並ぶ食べ物をつまみながら踏みつけて走り去るネズミに全ての家庭が憎しみを抱いた。

赤いネズミは物陰に隠れることをせず目立つ所を走り回った。追ってから逃げ去る時でさえも中心の広場をわざわざ横切った。村人たちは家を空っぽにして赤いネズミを追い回した。

家々が並ぶ狭い通路で挟み撃ちにあった。ついに追い詰めたと村人たちが確信した瞬間、それぞれの家から灰色のネズミが大量に出てきた。数百、数千のそいつらは食卓にあった皿をきれいにし、食料庫の備蓄を食い漁った。

村人たちが赤いネズミを殺そうと躍起になっている隙に普通のネズミが食料を食い尽くしたのだ。まるでネズミ達が作戦行動でもしているかのような光景に村人たちは恐怖を覚えた。その隙に赤いネズミは大群とともに逃げ去った。

2週間後その村は滅んだ。

1023年アーマー領、ハイピアー広地で赤いライオンが発見された。その群れは規模が大きく、通常の群れは15頭以下なのに対して赤いライオンがリーダーの群れは50頭を越えていた。広地に狩りに来た貴族がその群れに矢を放ち従者や連れられた子供たちもろとも食い殺された。

軍隊が出動し500人が挑んだが返り討ちにあった。その後2000の軍が出兵して800人の犠牲を出しライオンの群れを滅ぼした。

1108年、サイドコースト帝国に住む目が赤い人々の集落があった。戦でその部族が戦うと目覚ましい戦果を挙げた。その力を恐れた帝国によってその赤目の部族は虐殺された。

1109年、リバースロープ王国シールド領セジライフ県長アルケン・フィルターは招いた王族を惨殺し謀反を試みた。アルケン率いる亜人軍は強く王国中の軍隊と拮抗した実力持っていた。最終的にアルケン・フィルターの降伏によって戦は終わった。

アルケンは弟のアルキン・フィルターによって斬首された。

フィルター家は赤い目と髪を持っていた。

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