第55話
魔境・獣の森の中層を目指して僕たちは進んで行く道中に遭遇する獣系モンスターは居なかった。
もしかしたら居たのかも知れないが、スライムたちを大勢率いて移動する僕たちに恐れを感じて逃げたのかも知れない。
そんな訳で上層と中層の境までモンスターと遭遇しなかった僕たちだったが、ようやくモンスターを発見することになる。
「接近して来たら任せたよ。」
僕は周りのリムも含めたスライムたちに言うと、アロースライムが変形した矢を迫り来るフォレストウルフの群れに向かって放ち始める。
しっかりと弓を引いて放ちながらもフォレストウルフの群れを倒す為に連射して矢を放ち続けていく。
毎回そこそこの魔力がアロースライムに寄って矢に付与されたお陰で、上層深部で遭遇することが多いフォレストウルフに大きなダメージを与えることが出来ている。
しかも命中した場所が良ければフォレストウルフを一撃で倒せていれのだ。
そうして数を減らすフォレストウルフだが、その群れの数が16匹も居たせいで僕だけでは倒し切れなかった。
「みんな、あとは任せたよ。」
『マスターはそこ休んでて!!みんな、行くよ!!』
スライムたちがリムの号令で迫り来るフォレストウルフの群れに向かって攻撃を開始する。
もちろんフォレストウルフの群れの生き残りたちも必死に抵抗するのだが、スライムたちは1匹のフォレストウルフに対して常に6匹以上の数で攻撃を行なうお陰で、フォレストウルフの群れを倒した頃にはスライムたちの中からやられてしまったスライムは現れなかった。
それでも怪我をしたスライムは何匹もいたが、そんなスライムもスライムドクターとポーションスライムの掛け合わせ召喚したスライムの活躍もあって、すぐに怪我をしたスライムたちは元気に活動し始める。
そして上層と中層の境まで移動した僕たちは一度この場所で召喚したスライムたちと集合することにした。
一部のスライム以外が集まるまでの間、上層深部に生息するモンスターや中層のモンスターとの戦闘もあったりもしたが、今のところは問題なく対処可能なモンスターだった。
「これでみんな集まったな。それじゃあ中層の探索を開始しよう。」
『おーー!!』
150匹近くのスライムを引き連れて僕たちは獣の森の中層の探索を開始した。
僕の前方をスライムたちがピョンピョンと跳ねたり、ズリズリと森の木々を這うように移動して行く。
そうして移動を始めてから5分もしないうちに獣系モンスターの中でも縄張り意識が高いタイガー系のモンスターであるフォレストタイガーと遭遇する。
「ぐぅうううう。」と唸り声をあげて警戒音を発しているフォレストタイガーに向けて引き絞った矢を僕は放った。
こちらを睨み付けて唸り声を出している間にしっかりと準備をして魔力が籠った矢を放ったのだが、フォレストタイガーは地面や木を踏み台にして移動することで矢を回避しながら迫って来る。
「思ったよりも速い……それならこれでどうだ!!」
アロースライムの変形する矢の鏃のみを鋼鉄製にすることで、矢全体の重みを軽減して矢の速度は先ほどよりも速く空気を切り裂いてフォレストタイガーの肩の部分に突き刺さった。
鏃のみにしたせいで重みを失って破壊力の落ちた矢では、フォレストタイガーに大きなダメージは与えられなかったが、それでもこれなら俊敏に動き回る中層のモンスターのフォレストタイガーにも充分に攻撃を命中させられる。
続けて鏃のみを鋼鉄製にした矢を放ちまくり、フォレストタイガーの身体には幾つもの矢が突き刺さった状態だが、近接戦の距離までフォレストタイガーに接近されてしまう。
「みんな、あとは任せたよ。」
ここからはスライムたちの出番だ。ここまでダメージを受けているフォレストタイガーならすぐに倒せるだろう。
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