第45話
「ありがとう、リム。」
『もっとマスターはボクに頼って良いんだならね!ボク、頑張るんだから!』
「頼りにしてるよ、リム。」
隠密コクワガタをリムが捕食したから何も残っていない。だから、すぐに移動することが出来た。
意識的に隠れ潜んでいる隠密コクワガタを見つけられる様に索敵にも集中しながら僕は進んでいく。
だが、そんな僕を狙って音も出さずに接近して来るものがいたのだが、リムが発見することで奇襲は受けなかった。
『マスター!上から来る!!』
すぐにリムに言われた僕は木々で覆われている上空を確認した。そこにはデカい藪蚊が飛んで僕を狙っていた。
何で音を立てずに近寄れたのかは分からないが、あのモンスターはサイレントモスキートだ。
まさか知識としては知っているモンスターだが、ここまで音を立てずに接近して来るモンスターだとは思わなかった。
ボウスライムが変形している弓を取り出して腰に張り付いているアロースライムから矢を受け取ると、上空でホバリングしていたサイレントモスキートへと矢を放つ。
サイレントモスキートの大きさもあって腹部の部分へと矢は突き刺さる。今回の矢は鏃に烈風石が使われていた。その為、突き刺さった場所を起点に発生した突風によってサイレントモスキートの身体に穴が空いた。
これがサイレントモスキートに取っては致命的だったのか、サイレントモスキートは地面にゆっくりと墜落していく。
それでもまだ生きているサイレントモスキートにリムがその身体から変形した槍を突き刺して完全にサイレントモスキートにトドメを刺した。
「リム、ソイツを食べちゃって。」
『いただきまーす!!』
リムは身体の大きさをラージスライムサイズへと変えると、死んだばかりのサイレントモスキートを包み込んで捕食する。
これで僕が初めて戦ったモンスターの数が増えた。こんな風に音を出さずに接近して来るモンスターへの対策も考えないといけない。
本来なら魔力感知を鍛えるのが良いのだろう。今の俺にはなかなか難しいだろうが、ここでサイレントモスキートを相手に練習をしてみようと思う。
意識を向けないといけない相手が増えてもやる事は変わらない。俺は真っ直ぐにスライムたちが掻き分けて出来た獣道?を進んで行く。
それからしばらくの間、色々と周りを警戒しながら進んだ事で精神的な疲労もあったがお昼前には11階層までたどり着いた。
途中で毒毛イモムシの飛ばして来た毒の毛が身体に付着するなんて事件もあったが、それ以外は問題なく順調な探索をしている。
昼食を食べる時は辺りの警戒を大量に召喚したスライムたちの物量任せで守って貰いながら僕たちは昼食を食べていく。
昼食後はいよいよ11階層の探索の開始だ。これであと5階層の探索が進めば、この魔蟲の密林の最終階層だ。
新規に登場するモンスターに気を付けながら進んで行く。流石に隠密コクワガタやサイレントモスキートの様なモンスターが登場しない事は知っているので安心しながら進むことが出来る。
結局、隠密コクワガタは視覚を使っての発見を行なえたのだが、サイレントモスキートの方は正面から迫って来ている時以外は一度も発見することが出来なかったのは悔しかったな。
そんな事を思いながら探索を行なっていると、僕たちの前に初見のモンスターが現れた。
ブンブンと羽音を立てながら現れたソイツらは真っ直ぐに僕たちを狙って突き進んで来る。
「確かアイツらはソルジャーホーネットだったはず!毒針には気を付けるぞ、リム!」
『マスターも気を付けてよね!』
狙いを付けて弓を引いた僕はソルジャーホーネットの動きを読んで矢を放つ。
この魔蟲の密林での戦闘経験のお陰でどんな風に虫系モンスターが動くのかも理解して来た僕の弓から放たれた矢はソルジャーホーネットに命中した。
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