第38話

 遭遇したゴブリンに僕も矢を放って倒したりしながらも進んでいくと、行き止まりに開けられていない宝箱を発見する。


 「あっ!!宝箱だ!!」


 宝箱の初めての発見にテンションが上がって走り出しそうになるが、ここでミスズ姉さんに言われていたことを思い出す。


 ダンジョンの宝箱やその宝箱の周りには罠が仕掛けられていることが多いということだ。


 それを思い出して僕は走り出しそうになった身体を止めて、スライムたちを先行させて宝箱や宝箱までの道のりに罠が仕掛けられていないかを確認させる。


 「良かったぁ。」


 宝箱までの道中の道のりに罠が仕掛けられていた。そんな罠をスライムの1匹が受けることになったのだが、トラバサミの罠にスライムは身体を挟まれている。


 けれど、挟まれたトラバサミからスライムは身体を引き千切られながらも抜け出すと、すぐに自身の身体の一部が付着しているトラバサミを捕食してすぐに元の体型にスライムは戻った。


 それからもスライムの進軍は止まらずに宝箱の前にたどり着くと、スライムたちは宝箱を囲んで罠の有無を確認する。


 『マスター、宝箱の中に罠があるかも知れないよ?』


 「宝箱の中までは分からないか。それなら宝箱を開けてくれるか?リム。」


 『うん!任せてよ!!』


 宝箱を囲んでいるスライムたちが宝箱の蓋を器用に掴んで宝箱を開いた。


 すると、宝箱に仕掛けられていた罠が発動する。宝箱から紫色の毒々しい煙が宝箱の周囲を包み込んで数秒で消えていく。


 「あれは毒!?」


 僕は急いんで宝箱の周りに集まっていたスライムたちの様子を確認すると、すべてのスライムたちが毒の状態異常に罹ってしまったいた。


 僕はすぐにポーションスライムを召喚する。ポーションスライムに毒消しポーションを出して貰うためだ。


 もう既に消えた毒の煙の影響はないだろうが、一応の警戒をしながらポーションスライムを進ませる。


 「もう毒はないみたい。ポーションスライム、毒消しポーションをみんなに浴びせて!」


 僕の指示を聞いてすぐにポーションスライムは毒消しポーションを宝箱の周りに集まっていたスライムたちに浴びせていく。


 ホースから出てくる水のようにスライムたちは全身に毒消しポーションを浴びて、侵されていた毒の影響から脱したことが僕の方でも分かった。


 ホッと一息吐いてから僕たちは宝箱の前に向かって行く。そして宝箱の元までたどり着いて宝箱を覗いてみると、そこには1本の短剣が入っていた。


 その短剣には特に嫌な予感はしない。けれど、短剣なんて僕も含めてスライムたちも使わないだろう。


 スライムたちが武器を使うとしても武器系スライムたちが身体の一部か全身を使って変形してくれるのだから。


 とりあえず初めての宝箱から手に入った戦利品ということもあって、僕はリムにボックススライムの力を使って収納してもらう。


 そして残っている空になった宝箱をスライムたちに捕食させると探索に戻った。


 それからも罠やゴブリンに苦戦することなく5階層までたどり着いて、そのままの勢いでダンジョンのボスがいるボス部屋へとたどり着く。


 ボス部屋の前には僕たち以外の冒険者パーティーも居るのだが、あからさまにスライムたちに囲まれている護衛の騎士もいる僕に絡んで来るような者は誰も居なかった。


 そうして僕たちの番が来るまで待つことになったが、待っている間に周りの冒険者パーティーが言っていたゴブリンの洞穴のボスはゴブリンリーダーというモンスターなのだとか。


 今までの遭遇したゴブリンたちは連携のれの字もない行動ばかりだったが、ゴブリンリーダーがいるだけで連携して攻撃してくるのだそうだ。


 そしてボス部屋にはボスモンスターのゴブリンリーダーの取り巻きにゴブリンが5匹いるそうだが、今回のボスモンスターたちでもスライムたちには勝てないだろう。

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