第57話 いつの間にか背水の陣
■王都 闘技場【グローリア・アリーナ】 受付
俺は急いで書類の手続きを済ませて、帰ろうとしたとき俺はポヨンとしたものにぶつかる。
目の前にあったのは巨大な二つのふくらみ……胸だ。
「この位置は、セリーヌではない?」
「久しぶりではないか、姉上!」
「おお、確かに久しぶりなのだな、妹よ」
なぜか、俺を挟んだままで半裸に近い褐色肌の女が二人抱き合う。
むぎゅぎゅーっと胸に挟まれた俺はもがいて何とか抜け出した。
ハーレムものの漫画や叡智な本で見るシチュエーションだが、実際に会うと気持ちいいとかそんなことの前に息苦しさが勝つ。
やっぱり、あれはファンタジーなんだなと俺が思っていると、セリーヌが俺を紹介しだす。
「妹よ、こちらが私の
「お、おい!? 俺はそんなこと決めt……」
最後までいおうとしたところ、セリーヌの胸に顔を押し付けられたので喋れなくなった。
「姉上が見初めるとはな……こんな細いチビが強いとも思えないが、修羅場をググっている男の匂いはするな」
2mはあろうかと思える褐色の女が舌なめずりをする。
よくみれば、顔はセリーヌのように整ってはいるものの、眼帯を付けていて、体はモンスターの毛皮をサラシのように胸に巻き、下半身はふんどしの様なものを付けていた。
一言でいえば、
「おい、あの褐色はアマゾネスの一族だろ? 姿を見るに剣闘都市でチャンピオンを長らく続けてきた、セリーヌにもう一方は現在のアマゾネスの長のゼノヴィアだろ? こんなところで何をやってるんだ?」
ギャラリーからの声が騒がしくなってきたので、俺は二人を連れて闘技場内にある酒場へと向かった。
■闘技場内酒場『バッカーノ』
「「かんぱーい」」
酒場に来たら一杯というのが流儀なのか、俺も含めて二人はデカイカップのエールをグイっと一気に煽る。
「ゼノヴィアだったか? セリーヌの妹なのか?」
「だな、そして今のアマゾネスの長をしている。姉上が我らがアマゾネスの一族を捨てて旅に出たのでな」
「私は狭い世界で生きていられないのだ。広い世界で過ごし、そうしてジュリアンという
「その伴侶ってのは何なんだよ……」
体を寄せ付けてくるセリーナに向けて俺は冷めた目で、ぬるいエールを飲みつつ聞いた。
「ん? 私に勝って、私が負けを認めたところで伴侶となるのだ。それがアマゾネスの流儀なのだ」
ブフゥと俺はぬるいエールを吹く。
そんな、どこぞの薄い本みたいなことあるぅ!?
いや、異世界転生自体がおかしい現象ではあるんだけど……。
「だが、姉上がそんなひょろい男を伴侶にするとは、姉上も焼きが回ったか弱くなったか? 我が優勝をした暁には姉上にはアマゾネスの村に帰ってもらい、強い子を産んでもらわねばならないな」
「おいおい、それはさすがにねぇだろ? セリーヌは自由を求めてこっちに来てるんだ。村の掟かなんか知らねぇが縛り付けんなよ」
「意見をいうのはいい、だが聞くかどうかは力を見せてみることだ。我を従えたければ、我より強いことを見せてみろ!」
俺がむすっとした顔でゼノヴィアを睨みつけつと、ゼノヴィアも俺にガン飛ばしながら挑発をしてきた。
「わかった、俺が優勝してやるよ。それでテメェがセリーヌを諦めるならやってやらぁ!」
ゼノヴィアに手の甲を向け、中指を立てて威嚇すると、彼女は褐色の頬を赤く染める。
「な、なるほど……その自信、いいだろう。ここに約束はなった。試合を楽しみにするとしよう」
顔を赤くしたゼノヴィアはエールを煽って飲み干すと、2mの巨大でずんずんと酒場を後にした。
なんか思っていたリアクションと違うんだが、どういうことだろう。
「なぁ、今のジェスチャーってどんな意味になるんだ?」
「わかっていてやったんじゃないのだ? あれは『お前を孕ませるぜ』という求愛のサインなのだ」
「ブフゥ!?」
本日二度目のエールを噴き出す。
思わずムカついたので、アレなサインをしたが異世界で意味が変わる点を考慮してなかった。
「セリーヌみたいなのをもう一人養うのぉ? 勝たなきゃいけないのに、勝ちたくねぇ……」
背水の陣が敷かれてしまった俺の明日はどうなるんだろうな……。
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