第43話 馬鹿王子、師を得る その十五
投稿後に後ろの方を大幅加筆しています。早速お読みいただいた方、申し訳ございませんm(_ _)m
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オーティス氏、いや、今はただの
手にする
間合いが広く攻撃方法も多彩な厄介な武器を振りかざして、
僕は全身に
避けるよりも逆に思い切って踏み込み、真気を込めた斬撃を食らわそうとしたところで、
「ちっ!
魔法の盾を展開するのとほぼ同時に、炎が爆発した。
服に火が燃え移り、炎に包まれながら、
僕が
お互いに距離を取ると、
焼け焦げて炭化した皮膚の表面が剥がれ落ち、あっという間に再生していく。
「本当に出鱈目だね。にしても、
アルバートさん相手にレニーがぼやく。
「ああ。
その言葉を聞いてレニーがぎりっと
オーティス氏とは直接の面識は無かったはずだが、王都随一の冒険者として尊敬していたようなので、彼が生前に
気持ちは僕も同じだ。
またしても牽制の
火炎系の魔法を多用してくるのは、生前の彼が得意としていたというのもあるかもしれないが、周囲に燃え移り火に巻かれることになっても自分は平気だ、という計算もあるのは間違いない。
本当に
僕を牽制しておいて、
彼女が近接戦闘が苦手なことを見て取ったのか?
「
レニーは、自分の前方だけでなく、全方位を
凍結術式ということは、あらかじめ準備していたのか? 用意がいいな。
先ほどの
そして、それを近接攻撃に対して惜しみなく使ったのは良い判断だ。
前方だけだったら、一瞬で背後に回り込まれていたに違いない。
いや、やつの狙いはわかっている。
そうしておいて、彼女の救援に向かった僕やアルバートさんを迎撃しようという魂胆だろう。
「図に乗るなよ、人形風情が。千年早いわ」
アルバートさんは滑るような足取りで一瞬にして間合いを詰め、一刀の
緻密で硬い
そして、そのまま一挙動で、カタナを
だが――。
「ちっ、これでも足止めにすらならんのか」
アルバートさんが舌打ちし、カタナを手放した。
さすがにまともに食らうわけにはいかないと、距離を取るアルバートさん。
武器を失ってしまったか、と思ったのだが、彼は
そして一気に引き抜き、手繰り寄せる。
そこへ、
やはり盾を打ち砕くことはできるのだが、本体には
「すまんな」
「……どういたしまして」
アルバートさんが礼を言ったが、レニーは悔しそうな表情を浮かべていた。
今の一発、単に援護のつもりじゃなく、本気で仕留めに行っていたみたいだな。
今度は僕が、
本当にこの人――オーティス氏は強い。
しかし今となっては、僕にできることは
左手に持った石突きの方で僕の剣を
紙一重のところでそれを
そして、
その際、ちらりとレニーの方を見て目くばせしたのだが、彼女はその意図を的確に汲んでくれた。
「
いくら詠唱も
とっさに
腕は一瞬で灰と化し、さらには肩口にまで広がっていったが、そこでやつは躊躇いもなく、斧で自分の腕を切断した。
そして、左腕があっさりと再生する。
「ちょっと! そんなのあり!?」
思わず食って掛かるレニー。
いや、本当に出鱈目にもほどがあるぞ。
しかし、
いきなり背後を振り返り、二階に向けて
おいおい! 二階にはまだ生存者がいるんだぞ!
僕たちが慌てて消火に掛かる隙に、
くそっ、やり口が一々あくどいな。
大急ぎで火を消し止め、僕たちは
月明かりの下、家々の屋根から屋根へと飛び移っていく姿が目に入る。
レニーが呪文を唱え、石畳を隆起させてくれた。
それを足場に、僕たちも屋根の上に上がる。
アルバートさんはというと、自身の足元に魔方陣を発動させるや、次の瞬間には
転移魔法!?
そうか、彼も使えるんだ。
アルバートさんは魔力の糸を放ち、
ようし、今度こそとどめを刺してやる、と決意を固め、僕が駆け寄ろうとすると、不意に
魔法でわざと屋根に穴を開けたのか!?
「ぎゃあっ!!」
階下から、男性のすさまじい悲鳴が上がり、さらには子供が泣き叫ぶ声も聞こえてくる。
くそっ、住人が巻き込まれたのか?
「ええい、くそったれめ。救助は俺に任せて、お前たちはやつを追え!」
アルバートさんはそう言い残して、屋根の穴から屋内へ飛び込んだ。
最悪、死傷者が出ていたとしても、彼ならなんとかしてくれるだろう。
「わかりました。お願いします!」
下を見下ろすと、
その後を追いかけるが、なかなか追いつけない。
と、不意に
また転移魔法を使ったのか。
挟み撃ちに出来る、と思ったのも束の間、
「くそっ、逃がすか!」
僕たちも路地に入り、
そこへ、場違いなほど明るい少女の声が響いた。
「おう、久しぶりじゃな、父よ!」
「むっ、なんじゃこやつ。人間では無いようじゃな。ならば遠慮はせぬぞ」
そう言い放つや、少女の体に闇の魔力が満ちていく。
「シュカ!?
アルバートさんが血相を変えて叫んだ次の瞬間、無数の黒い刃が
いくつもの肉片に分断された
「ちぃっ! 何てことをしてくれる!」
どうやらアルバートさんの娘さんらしいが、知らぬこととはいえ最悪なことをやってくれた。
再生途中の
「「ひぃっ!」」
全裸の男たちの出現に、レニーと少女の悲鳴が唱和する。
まずい! 一斉に魔法を放たれたら、さすがに防ぎきれない!
僕が絶望に
とても涼やかなその声は、聞き馴染みのあるもののように思われた。
いや、まさか。彼女がこんなところにいるはずは――。
「――悪しきもの、
そして、地面にいくつもの魔方陣が描き出され、その一つ一つから光の柱が立ち上った。
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