デート?②
カフェを出ると、空は少し暗くなっていた。そういえば午後から雨が降るって天気予報が言ってたことを思い出す。雨が降る前にどこか屋内に行ければいいのだが次はどこに行く予定だろうか。
「神谷さん、次どこ行きますか?もし、決まってなかったら行きたいところがあるんですけど」
「行きたいところあるならそこ行こうか。まだ時間もあるしね」
時計を見ると11時半頃を指していた。
「行きたいところ、と言っても本屋さんなんですけど・・・」
今日発売の限定商品があったことを思い出した為、本屋に行きたくなった。
デートと言うか、一緒に出掛けてるときに寄るのもどうかと思ったが売り切れる可能性もあるので、すぐにでも行きたい。
「もちろんいいよ!本屋さんなんていつぶりだろうなぁ」
私の我儘で行きたいといったのに、なぜだか神谷さんはウキウキしているように見える。
「なんで神谷さんの方がウキウキしてるんですか。」
「あれ、ばれちゃった?なんでっていうのは難しいけど、恵ちゃんとならどこでも楽しいから浮かれちゃった。」
そういえば私の事を好きなんだったというのを思い出し、自分の顔が熱くなるのが分かった。好意を寄せられるのに慣れていないからだと自分に言い聞かせる。
「じゃあ急ごうか。売り切れてると大変だしね」
顔が赤くなっている事をバレないように、本屋へ向かうことにした。
本屋に着き、一旦それぞれが見たいコーナーを見る為、別れて行動することになった。
「顔赤かったのバレてないよね。」
神谷さんが遠くに行ったのが見えたので、自分の頬を触り、火照ってる顔を冷ます。
恋人=異性とばかり思っていたが、好きなら性別なんて本当に関係ないのかもしれない。でも、まだ、自分の好きはわからない。
「よし、落ち着いたし、欲しい本を買おうかな」
新作コーナーを見ると、欲しい本があっただろう場所には売り切れという案内のみあった。次回納品日も未定。
「まじかぁ・・・売れるの早すぎでしょ」
目当ての本がない以上ここにもう用はない。
神谷さんと合流するまで時間も有ったので、普段なら見ない棚なども見てみることにした。
「前はBLがよく目に入ったけど今はGLというか百合?が流行ってるのか・・・ありえないって思ってたけど、今読んだらまた違うのかな」
なんて思いながら、一番手前にあった本を手にする。
内容は、今まで男性にしか興味がなかった主人公が同性の転校生に一目惚れをし、何度も告白をするという内容だった。
「好きになるのに性別なんて関係ない、か」
立ち読みしながら、佐倉に言われたことを思い出す。
まだ好きとかはまだ良く分からない。でも、知ろうともしていなかった。
「あ、恵ちゃん、もういいの?って、何読んでるの?」
考えてる間に神谷さんが後ろに立っている事に気が付かなかった。
よりによってこのコーナーで会うなんて。
「あ、それいいよね。私も読んでるんだ。面白いし、泣けるんだよね」
立ち読み程度しかしてない自分には詳しく分からないが、まさかの神谷さんも読んでいたようで、泣きそうになっていた。どうやら感動する物語らしい。
「やっぱり、前から女の人が、好きなんですか?」
「ううん、私だって彼氏が欲しいって思ってたし、恋愛対象は男性ってずっと思ってたけど、恵ちゃんに一目惚れしちゃったんだよね。だから、女の人が好きとか男の人が好きとかじゃなくて、恵ちゃんが好き、かな」
「ぅ・・・ありがとうございます。というかよくそんな恥ずかしい事言えますね」
だって好きだからね、と言い意地悪そうに神谷さんは笑った。
なんだか、少しだけ、好きというのが分かった気がする。
誰が彼女か分からない!? 夜凪 @menma07
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