第48話 剣聖とデートしていたら前から盛大な悲鳴が聞こえました

私はセドの腕に捕まりながら歩いていた

そう、ずっと好きだった男と一緒に歩けてとても嬉しかった。


肝試しに好きな男の子と一緒に歩くって最高だ。

一緒に歩いている時に、何かが出てきて、キャって男の子に抱きつくのも良いかもしれない。

たとえ魔物でもセドなら、私を抱えたまま、一撃で退治してくれるだろう。


うーん、でも、今はセドにくっつきすぎているだろうか?

なにか出てきた、あるいは出てこなくてもその時にセドに抱きつけば良かったか……

私が逡巡している時だ。


「どうした? そんなに俺にくっつくなんて変だぞ! そうか、今頃になって俺の良さが判ってきたのか?」

なんかセドが言ってくれたけれど、普通の女の子ならばココは頷くのかもしれないけれど、残念ながら私は頷けなかった。


「そんなわけないでしょ! 良い気にならないで」

きっとセドを睨みつけて言ってしまったのだ。

やってしまった。

こうやっていつもセドに喧嘩腰にやってしまうから良くないのだ。

私が反省しようとした時だ。


「まあ、そうだよな。お前が俺を好きになんかなるわけないし」

セドがあっさり頷いてくれて、私は少し落ち込んだ。

いや、少しは疑えよ!

何しろ私が自らくっつくなんてことセド以外でしたことないんだから!


まあ、初めて助けてもらった時から大好きなんです……なんて言葉は口が避けても言えないけど……

いや、でも、多少はそれに近いことを匂わせれば良いのではないか……

私が考え出したときだ。


「そうか! 俺にくっついて皇太子に妬かせようというプランか!」

「なんでそうなるのよ」

私がムッとして言った。

「あんな、きざな皇太子なんて昔から論外なのよ」

私は大きな声で言っていた。

「そうか。皇太子はお前の事が好きだと思ったけれど、帝国の皇太子なんだから完全な玉の輿じゃないか」

セドが言ってくれるが

「何言っているのよ。私自身が帝国の公爵家の令嬢よ。私が皇太子とくっついても普通じゃない! 全然玉の輿じゃないわよ」

私は思わず言っていた。


「しかしねそんな事言っていたらキャロラインは嫁ぐ相手がいなくなるぞ。そんなに高位貴族はいないんだから」

セドが余計な心配をしてくれた。

「えっ、私の相手は地位なんて全く関係ないわよ」

何しろ私が好きなのはセドなんだから!


皇太子は助けたら延々とそれを自慢しそうだけど、セドの場合は名も名乗らずに立ち去ったのだ。

皇太子だったらありえない。名刺を20枚くらい置いていきそうだ。


まあ、でも、こいつの場合、昔助けた少女が私だって気付いていない可能性大だ。

というか、忘れている可能性もあるわけで……

私は心配になった。


「私、昔から好きな人がいるの」

私は思わず言っていた。

「ほう、そうなのか」

あんまり興味なさそうにセドが頷いた。

思いっきり足を踏んでやろうかと思ったが、止めておいた。

「その人は小さい時に破落戸共に襲われた私を助けてくれたのよ」

「ああ、それが白馬の騎士様か」

セドが納得してくれた。

えっ、ひょっとして私が好きなのがセドだってバレた?

私が少し赤くなった時だ。


「俺も昔、伯爵家の男の子を助けたことがあるぞ」

「?」

「助ける時に、盗賊の腕を切り落としたらその男の子が失神してしまって、おいおいこんな血くらいで失神するなんて、男らしくないぞと思ったんだ」

な、何ですって。ちょっと待って、それって私のことじゃないの! それは歩きやすいようにスラックス履いていたけれど、この美貌の私を見てどうやって男だと思ったのよ!

それは子供の頃は区別はわかりにくいかもしれないけれど、私はどう見ても女じゃない!

思わず叫びそうになった。


そんな時だ。私の眼の前の叢が急にガサゴソしたのだ。


「きゃっ」

思わず、セドに抱きついていたのだ。

良かった。爆裂魔術で破壊しなくて!

また男女って言われるところだった。

私は更に強くセドに抱きついていた。


「キャロライン、何驚いているんだ。お前のペットだぞ」

呆れてセドに言われて、私はそれを見ると


「何だ。竜ちゃんか」

私はがっかりした。

化け物だったらそのままセドに退治させようと思ったのに!


お姫様を守る白馬の騎士様!

言うことはないではないか。


ピーピー

竜ちゃんが鳴いて私にすり寄ってきた。

うーん、いつもは可愛いけれど、せっかく私はセドと二人で歩いているのに……

ちゃんと見張っているようにとトムに頼んだのに!

どうやって逃げてきたんだろう。

まさか暴れたんじゃないわよね。

私が白い目で竜ちゃんを見た時だ。


なんか竜ちゃんはセドを睨みつけているんだけど。


「どうした! キャロライン。今悲鳴が聞こえたけれど」

そこに皇太子が駆けてきたのだ。


なんでこんなに早く駆けてこれるのよ!

絶対に変だ。10分待たずにつけてきたんだ、この皇太子は!

と言うか、私のデートの邪魔をするな!


「あっ、殿下! この私のペットを抱えておいてもらえます」

私は丁度やって来た皇太子に竜ちゃんを預けたのだ。


「なんだ。キャロライン嬢。あなたはトカゲをペットにしているのか」

頓珍漢なことを皇太子が聞いてきた。どこがトカゲよ!

思わず叫びそうになったが、この前大厄災を起こした古代竜をペットにしているなんて口が避けても言えない。


「なにか問題でもありますか?」

少しムッとして言うと


「いや、とてもかわいいトカゲちゃんだ」

皇太子がガラリと態度を変えて竜ちゃんを撫でようとしたのだ。変わり身が早すぎる。

でも、竜ちゃんはそれを見抜いたみたいだ。

がぶりと皇太子の手に噛みついたのだ。


「ギャッ」

皇太子が悲鳴をあげた。


「殿下、大丈夫ですか?」

「ちょっと竜ちゃん止めなさい」

アロイスと私が竜を皇太子から引き離そうとした時だ。



「キャーーーー」

前の方からコリンナの悲鳴が聞こえたのだ。

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ここまで読んで頂いて有難うございます。

悲鳴の正体は?

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