眩惑

本作、『猫魔岬變』の中の一場面なのですが、一編の怪奇幻想小説として、ずしりとした読みごたえがあります。

昏い浜辺で聞こえてくる陰陰滅滅とした人魚の歌からの国道をさまようシーンはしびれるほどに甘美で、逃げても追いかけてくる歌声は、まさに悪夢です。

目覚めても……! いや、本当に目覚めたのでしょうか?

わずか二千字あまりの短編とは思えない力強さで幻想世界に引き込んでくれる一作です。

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