1950年代。戦後復興のただなか。
二人の少女がこの世に生を受け、成長した彼女たちは、
望まなかった別れを迎えます。
ときはたち、64年。東京オリンピックが開催された年、
別の場所で、二人の少女が出会い、物語はもうひとつの意味で立ち上がっていきます。
作中で何度か登場する『ニライカナイ』とは、「沖縄の古い民話に出てくる楽園の名前。海のずっと向こうにあって、神様とそこに集まった善良な人たちが住む理想の国」(本文より)とのこと。
海、水、記憶。太古から人々を導いてきた流れが、ときに満ち、ときに引き、ときに呑み、ときに送り出すように、恵まれなかった人生に伴走し続けてきた。
そして・・・・・・。
詳細に触れるのでこれ以上は省きますが、そんな情景が残りました。
時代背景についてもしっかり描写され、著者様の持ち味、生の力(を信じる)描写が、
灰色の世界に色を添えます。
過去、未来、現在。人はそれに、翻弄されます。
けれど作中で灯ったその色は、この先けして色あせることはないのでしょう。