第20話 高みの一端
今日は音練中に来ていた。
なんで夏休みなのに学校に来たのかって?宿題忘れたのかって?
ノンノン………実は宿題の一つに、教職員と一度ビートをしないといけないらしい。配られたプリントを眺めてたら一文書かれていて、危うく見落とすところだった。因みに勝敗は不問で、戦うだけで良いらしい。今日は特に用事がなかったため、昨日の内に電話して予約を入れていたのだ。
対戦相手は担任の羽澄麗香先生である。こんな夏休み序盤で挑む人は珍しいと驚かれた。
「それでは、準備は良いですか?狭間くん。」
学校の設備であるホログラム台、確か正式名称はリアフィールドだったか?まぁ、どうでもいいか。
「はい、宜しくお願いします!」
「「ビートを刻め!」」
レイカ一ターン目
「私の一ターン目、エレメントをセットしてデクレイション、"天使の梯子"!山札の上から二枚を見て、ルミナス・エンジェルを一枚手札に加えます。
その後山札をシャッフルしてターンエンドです。」
レイキ一ターン目
「ドロー、エレメント。」
「狭間くん。あなたのビート、今一度確認させてもらうわね。」
「分かりました。」
……………やっべ、今気付いたけど、これレイスデッキじゃねぇ………………前に作ったデッキ持ってきちまった………………これ減点とかないよな……?
まぁ良いか。そん時はそん時考えるべ。
「トラップを一枚セットしてターンエンド。」
レイカ二ターン目
「私のニターン目、ドローしてエレメントをセット。コストニを支払って、"鋭利な者・ファスト"をクリエート。」
「行きますよ、マスター!」
「トラップを一枚セットしてターンエンドです。」
レイキニターン目
「ドロー、エレメント。トラップをセットして、コストニでデクレイション"巧妙な罠"。自分のトラップゾーンカードを一枚セメタリーに送り、ライフを三支払うことで山札からそのトラップのコストと同じコストのファミリアをクリエート出来る!」
「狭間くんのプレイングでは初めて見る戦法ね。」
ドキッ!?だ、大丈夫だよな!?
レイキライフ六→三
っと、気を取り直して、今破壊したのはコスト七。
「山札からクリエート!"漆黒の射手・ベルゼー"!」
「任務開始。」
現れたのは、黒いマントに身を包んだ身体よりもデカイ狙撃銃を担いだ白髪の男。
このデッキは妨害とバーンが手段のハイド・スナイパーという種族のデッキだ。
「レイスじゃない!?」
「削ったライフ分カードをドロー。
ベルゼーの効果により、山札の上から三枚をセメタリーに送ることで相手のトラップを破壊。さらに、自分のトラップを破壊することで相手に一ダメージ。」
「何事にも、犠牲は付きものだ。」
レイカライフ六→五
「ターンエンド。」
このデッキ何が強いかというと、バーンを六回使えば基本的に勝てること。バーンは効果のため、ファミリアを全てプロテクト要員に回せること。ついでに妨害も出来ること。
このトリッキーな感じも気に入ってる。
レイカ三ターン目
「やるわね、狭間くん。これは想定外だったわ。」
「なんかすみません……………」
「構わないわ。久し振りに熱くなってきた所よ!
私の三ターン目、ドローしてエレメントをセット。
コスト三でファストから進化!"神速の継承者・ゼッカ!"」
「マスター!私の足さばき、上手く使ってね!」
「ゼッカの登場時効果で、山札から一枚ドロー。トラップをセットしてターンエンドです。」
レイキ三ターン目
「ドロー、エレメント。トラップを一枚セットして、コスト三でクリエート、"付き人パール"。」
「わわっ!?頑張ります!」
「パールの効果で、自分の手札を一枚捨てることで、相手も手札を一枚捨てさせる。
そしてベルゼーの能力発動。上から三枚をセメタリーに送り、相手のトラップを破壊!」
「残念。トラップ発動!"錆びたステンドグラス"。このカードが破壊された時発動出来るわ。効果により、自分と相手の手札を全てセメタリーへ送り、これにより四枚以上カードがセメタリーへ送られていれば、相手のトラップを一枚破壊!」
「マジか…………」
くそ…………ベルゼーの追加効果も使えなくなっちまった………それにパールの能力も無駄になった。
今回は引きが悪いから捨てても困らなかったが、もう少し考えて動かすべきだな。
だが、相手のゼッカの攻撃数値は俺のベルゼーの防御数値が上回っている。まだ焦らなくていい。
「ターンエンド。」
レイカ四ターン目
「私の四ターン目、ドローしてエレメントをセット。ゼッカの能力でエレメントをセットした時その数分一枚ドロー。コスト四でクリエート。"慈悲足る者・アメノウ"。」
「救いましょう、助けましょう。」
「アメノウの効果で、墓地にあるルミナス・エンジェルを持つカードを二枚まで回収。
ふふ、トラップをセットしてターンエンドです。」
レイキ四ターン目
クソ、あのカード、回収したカードを相手に見せないのかよ!またステンドグラスか?いや、それとも別の…………分からん!
「手が止まっていますよ、狭間くん。」
「す、すみません………ドロー。」
これが羽澄先生の実力…………いつもポワポワしてたが、ここまで笑顔の圧があるとは………………
怒らせてはいけない人リスト上位に入れておこう。
「コスト三でクリエート。"裏道のシンジ"。」
「ヒヒ、良い取引があるんだぁ…………」
片目がイッてる青年が片方の口角だけをあげながら笑っている。
ここはベルゼーの効果を使おう。相手のトラップをなくす方が優先だ。それに、もしステンドグラスなら発動はしないはず。なんせ俺の手札はゼロだからだ。
「ベルゼーの能力発動!山札から三枚セメタリーに置き、相手のトラップを破壊!」
「トラップ…………発動!」
「な!?」
「"朧月夜"。破壊の効果を使用したファミリアを選択し、そのファミリアも破壊される。」
「くっ、しくじったか……………」
不味い……ベルゼーが破壊された!つまり、次から先生の猛攻が来るということ。だが、少しでも足掻いて見せる!
「シンジの能力により、自分のセメタリーにカードが置かれた時、一ターンに一度、相手に一ダメージを与える!」
レイカ五→四
「ターンエンド。」
レイカ五ターン目
「私の五ターン目。ドローしてエレメントをセット。」
「っ!これは………!」
「流石、よく気付いたわ。でも、もう遅いわよ!
コスト五を支払いクリエート!光をもたらす白い羽、翻るは誇りのマント!可憐なるフェザー・アート!」
「共に参りましょう!私のマスター!」
「フィールドにルミナス・エンジェルが三体以上いるときゼロコストでデクレイション。"征戦の心得"。自分のファミリア一体をスピード状態にする。」
不味い……………前の図書室で確認したが………
「そしてフェザーの登場時効果で、フィールドにあるルミナス・エンジェルの数だけフィールドのカードを破壊!」
「フゥー…………流石です。」
「素直なのは良いことです。また高みを目指してくださいね。私のファミリアで一斉攻撃!」
まだまだ改善点があると知れたのは僥倖か…………
レイキ三→ゼロ
「お疲れ様、狭間くん。」
「はい、ありがとうございました。とても勉強になりました。」
「うん、夏休み目一杯楽しんで!」
羽澄先生がウィンクをして颯爽と歩いていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます