第17話 いざ行かんッ!

 遂に、来てしまいましたなぁ。

 学生の一大イベント、夏休みがッ!

 誰もが憂鬱になる宿題も、最低限の一般科目以外は全てビート関連。前世持ちの俺からしたら簡単すぎて夏休み前に終わったぜ。

 後は、毎日寝る前に日記付けてれば終了さ。





 そんな晴れやかな気持ちで迎えた夏休み一日目。

 俺は部屋でデッキを作成していた。

 

 え?なんか文句あるか?前世からカード広げてデッキ作るのが趣味だったんだからしょうがないじゃん。

 まぁ、この世界ではデッキは一人一つが基本らしい。それと、前にカードの色について話したが、各々で相性があるらしい。龍ケ崎は赤、未踏は青みたいに。俺は元々黒デッキだったから黒の筈だ。

 相性というのはアニメでよく見る引き運。更に種族も相性が良ければプラスみたいな。そんなニュアンスで良いと思う。


 だが先天的にも後天的にも、別の色との相性が覚醒するらしい。そうすると、なんとパックから二色や三色のカードが混じるようになるらしい。

 とても珍しいため、ほとんど初出だし、歴史的にも存在が稀なため、一枚だけでデッキとして使えなくてもコレクションとして、多色カードは超高額である。


 プロとして活躍する者利朱雀という人物が、アート・バードとルミナス・ロックという二種族二色を併せ持ったカードのみの使い手である。多色使いはまぁ両手で数えるくらいにはいる。



 あぁもちろん、パックを買えば自分が使わない色や種族は当然手に入る。が、基本は自分のデッキを強くしたいからとすぐに売ったりトレードするのが一般だ。


 だが、俺はそんなことしないため、こうやってデッキレシピを日夜考えているってわけ。

 最初よりは大分変わった。メインデッキがレイスなのは変えてないが、レイスデッキにもレイス関連でないトラップやファミリアはそこそこ入れてる。

 シデムシとかは、レイスではなくマーダー・インセクトという種族だ。


 因みに俺のような複合デッキは中々見ない。しかも、パートナーがいる場合はゼロと言って良い。みんなパートナーの強みや見映えで統一するべきという考えが常識的だからである。


「ハァー」


 まぁ、欲を言えば多色デッキも作りたい。が、肝心の多色カードが手元にないため、単色同士のデッキになってしまう。回せなくはないが、やはり味気ない。



「多色カード欲しいなぁ…………」



 こればっかりは後天的な運に頼るしかないな。





「…………こんなもんかな。」


 しっかりデッキチェックと、サブデッキ三つを作り終え、ベルトにつけてあるデッキホルダーに収納した。







「さてさて、近所の大会チェックといきますか。」

 大から小まで、多くの大会が日夜開催されているのも、俺としては中々新鮮だ。

 それに賞品も豪華だし、参加者も骨のある奴らが多い。参加して損はない。



「んお?」

 チャリで四十分ぐらいのカドショの大会が目についた。優勝賞品は"ダーク・ネオン"。黒のトラップスペルで、効果はセメタリーのコスト六以下のファミリアを選んで、バトルフィールドのファミリアの上に乗せ、進化ファミリアとして扱ってもよい、と。

 

「欲しいな。」

 裏設定がめっちゃ闇深そうだが、単純に珍しい能力だから使ってみたい。

 手短に支度を終え、件のカドショに向かった。










「広いな……………」

 龍ケ崎と行ったカドショバリに広い。なんで、こういうデカイ店程家から遠いんだろうなぁ。


「大会受付はこちらでーす!」

「おっと、枠が埋まりきる前に行かないと!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る