主人公がかつて生活していた向こうの世界、そこは暖かい風と明るい色のある世界。そこから落とされたこちらの世界はまるで温度を感じられない。二つの世界の書き分けがすごいです。向こうの世界に帰りたいのに抗う術を持たない主人公は諦めたようでいて周りを冷静に観察しています。そして引き出された一言に「あっ」と驚かされるのです。
サスガの描写力!最初から引き込まれる筆致には素晴らしいの一言。そして、花びらが舞う描写により、まるで催眠術にかけられたが如く、不思議な世界へと読者を誘う。その不思議な世界は、色の描写はあれど、何故か無色な、どちらかと言えば、白を連想させる世界。そんな違和感を抱えて読み進める内容も、これまた違和感を奏でる。ラストでその違和感の意味が分かるのだが、そんな構成力もサスガです!作者様しか描けない世界とその描写、素晴らしいです(^^)是非、ご一読ください(^^)