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.への応援コメント
何作か冷田さんの小説を読ませていただき、その文体が確立されていることに、驚いております。抑揚が激しく、滑らかに回りくどい表現をすると思えば、感情の羅列(これは処女作『蝶の味』から片鱗は見られた)が襲う。最初は読みにくいものの、冷田さんのペースを掴めると、どんどん面白い。エンタメ性も兼ね備えた純文学といった作風で、どの作品も不思議な魅力がありました。
特にこの『雪融けのケロイド』では、文章の滑らかな部分が強調されていて、強弱の激しさが、恋する心の揺れとマッチしていたように思います。皆が評価するだけあると感じました。
内容について。
主人公の冬佳は、周りを考えてしまう性格ゆえの難しさを抱える人間として映りました。幼馴染の秋乃、恋する先輩、どちらも大切にしたくて、自分を素直に受け止められない。複雑で優しい感情が読み取れました。
対する秋乃は、利己的な性格です。周りを考えない直球の生き方をしています。正直、新学期初日から、他人の家でゲームしてるのは驚きました。しかし読んでいるうちに「なるほど、そういう子なんだ」と腑に落ちる点があり、冷田さんの筆力を感じます。
冬佳と秋乃。どちらも間違ってなく、悪くなく、非常に恋をしていました。部活動見学での出会い、いつも焚いてるラベンダーのアロマ、文章でのときめき、想いを歪に込めた処女作と消えない短歌。どれも恋を表現するには、解像度が高すぎて、射抜かれます。
恋は難しいものですね。誰も悪くないのに、その歪みから、実らないものもあります。さみしく諦めるものもあります。冬佳が誰にも読まれない手紙に、自分の想いを閉じ込めて、捨てるラストシーンは、言葉にならない感動がありました。
後にその手紙を、秋乃が見つけるか、先輩が見つけるか、誰も見つけないかで、未来は変わる気がして。そこを明記しない部分に面白さが香りました。そうとなれば、最後に「文芸部の扉が開く音がした」という展開をつけ足して、秋乃に見られたか、先輩にラブレターが渡ったのか、を読者に想像させる終わり方にするのも良さそうですね(あくまで私の考えなので参考までに。元の終わり方もとっても素敵ですので)
想いを綴っていたら、冷田さんへのラブレターがこんなにも長くなってしまいました。申し訳ありません。素敵な作品をありがとうございました。
作者からの返信
コメントありがとうございます!!そう言っていただけてうれしいです……!
ラストシーンはおっしゃる通りで、手紙が見つかるかどうかでその後の展開が大きく変わります。
ですが私には冬佳ちゃんを幸せにする勇気も、不幸にする勇気もなく、読者の皆様方の想像におまかせするということになってしまいました……。
そういった意味では少し納得できていないかもしれません。
ともかく、何作も読んでくださりありがとうございます!
.への応援コメント
先輩への最後の言葉が「ありがとうございました」や「好きでした」ではなく「ごめんなさい」だというところが、深いなと思いました。
好きだという重いばかり募って、でも弱い自分にはどうにもできない、相手に値しないと思っていて……。自分が嫌いだけど、でも恋を終わらせることは自分を守ることでもある。とても痛いのにとても綺麗。
「死体ノットイコール彼女」は暗い雰囲気の中なのに救われて、こちらの物語は明るい春という季節の中で静かに絶望していて。不思議でした。凄い。かるぼさんの元で恋愛の書き方を学びたいです笑
あと秋乃ちゃんについてももっと知りたいなと思いました!
長々すみません。
作者からの返信
コメントありがとうございます!
冬佳ちゃんの卑屈さが書けて満足ですが、秋乃に関しては描写不足感が否めないんですよね……なんだかんだいい子です。あと美少女。