第7話 武士と騎士
まずは名乗りから始まる。
「
兵馬は刀を抜き、隠すように構える。
いわゆる、
影流で多用されている
これで、刀の長さはわからなくなり、出方に悩むだろう。敵は取れる方法は振らせて長さをはかるしかない。
「それなら、私は」
対応するように、マルガレーテは剣を槍のようにかまえていた。
敵の兜の
兵馬の鎧は軽量で視界がひろい、そのぶん弱点が多い……のだ。
まずは顔 共通する脇の下、股間に隙がある。
他にも首の頸動脈は露出しているのだ。
他にも脇の下、股間には大きな動脈が流れるため斬り裂けば、出血多量で死ぬ。
それは、マルガレーテも同じ弱点はある。
マルガレーテは全身をおおっているが、兵馬の鎧のほうが胴と兜は厚い。
それ以外の部位が薄かったり、装着せずに軽量化させているのだ。
マルガレーテは全身を覆っているが、左側を厚く右側を軽してるが、全体的な薄めだ。
どちらにも勝ち目はある。
「まずは、私からいきます!」
分析を終え、防御力に余裕のあるマルガレーテが初手をとる。
とっさに間合いをつめて、兵馬は間を読むように呼吸をあわせていく。
マルガレーテは勢いをつけ、バスターソードで兵馬の顔面に向けて突をはなつ。
瞬間、間合いはせまりぶつかる。
「やっぁぁぁぁ!」
マルガレーテの強烈な刃の一撃に兵馬は動く。
「あまい!」
とっさに兵馬は肩袖で刺突を反していく。
「あっ!!」
マルガレーテが思わない防御に戸惑いの感じたのだろう。
よし、技は通じる。
兵馬は手応えを感じていた。
「やあっ!」
姿勢が崩されたマルガレーテの背中へと斬りつけていた。
マルガレーテは鎧の重さが足枷となり、体は動かせない。
兵馬の狙いは、のびきり露出した首筋。
しかし、マルガレーテは兜の下で不適にわらう。
「まだよ!」
マルガレーテは体を倒し、背甲で一撃を受け止めて、そのまま立ち上がろうとする。
しかし、それは確実な隙だ。
兵馬はにやりと笑う。
「そこだ!」
態勢が立ち直らないうちに兵馬は袈裟切りに首元へと一気に刃を振り下ろした。
「まだよ!」
それをマルガレーテは左篭手でうけとめる。
なんとか攻撃は受けとめたが背甲は大きくゆんでしまっていた。
「あっ!」
長い乱戦のなかで二転三転、二人は互いにせめるが決め手がない。
「そっか……」
「やっぱり……ね」
やはり、敵も鎧の戦いかたを心得ている。
鎧の戦いかたは乱暴にいってしまえば隙間に刃を通さないで、敵の鎧の隙間に攻撃をしかければいいという、単純な理念に支配されている。
いまの戦いもマルガレーテの一撃は黒色の鎧にはばまれていた。
攻撃は鎧で受け止める。
そうすれば、防御のためににまで剣をいためる必要はない、そのために鎧がある。
鎧を着ていなければすでに二人とも致命傷をおい死んでいるだろう。
しかし、鎧同士の戦いに隙は確実な弱点となりはしない。
「さすがね」
マルガレーテの世辞に兵馬は破笑した。
「まぁな。お前もなかなかだぜ」
気恥ずかしそうに兵馬は答える。
しかし、これで互いにわかった。
兵馬の刀全体で94センチの曲刀。
マルガレーテの剣の方が20センチほど長い。
遠いと有利だが、懐に入られると弱い。
その有利を守るために先手をつく方がいいだろうと、マルガレーテは理解する。
兵馬も刃をさらすように刀を空に突きさすように構え。マリアは屋根の構えをとり、必殺の一撃のために気力を充実させていく。
そして、動いた。
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