【中編・幕間】赤の魔竜は二度嗤う
序章じみたもの
いつも拙作をご愛顧いただき、本当にありがとうございます。
今回はこちらで、本編「赤の魔竜と歪の月」とは関係なく、近況ノートにてPV90000感謝企画として募集しましたスピンオフのお話を「幕間」と銘打ってお届け致します。
普段の展開ではお見せ出来ていない、登場人物達の側面を書いています。いつもとは違った雰囲気をお楽しみいただけると本当に嬉しいです。
また、PV10万達成企画を同時に募集しております。どの様な些細なものでも構いません、本編に絡んだ私にやらせたい事や書かせたい話を、是非気兼ねなくご提案下さい。詳細は近況ノートをご覧いただきたく思います。
重ねて、本当にありがとうございました。そして、いつもありがとうございます。
「一曲頼む」
うらぶれた酒場の隅でリュートをつまびく吟遊詩人は、声をかけられ、小銭を受け取るとにこやかに微笑んだ。
「どうも。…で、何を演りましょう?」
「銀月のエシューを頼む」
「またですか」
乞われた吟遊詩人は大袈裟に溜め息を吐く。眼前の客に見覚えがあったからである。
「お客さん、本当に好きですね…前も頼みませんでした?何度も聞く様な歌じゃないですよ、これ。何より長いし」
「仕方ないだろ。あんたが歌わないと物語が始まらないんだから」
「まぁ…それもそうか。それじゃあ」
銀月のエシュー。
遥か昔、この西大陸を震え上がらせた魔竜レギアーリに対峙した英雄の名である。
彼にはもうひとつの二つ名があった。そして、彼の物語を語る上では、そちらの方が一般的だった。
言う事をきかない子供を黙らせる時、良くない事が立て続けに起きた時。畏怖の具現者として、凶事の象徴として、その名はしばしば今も口にされる。
歪の月。
魔王として非道の限りを尽くした、堕ちた英雄エシューの別称。
…という話になってはいるが、事の真相は世界の皆が知っている。それどころか、彼が辿った軌跡を知らない者は誰もいない。
何せ、西大陸の歴史は二周目が紡がれている。
たった一人、エシュー当人を除いたまま。
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