「あの言葉」を胸に据えて執ったペンは、きっと剣よりも強い

生徒の自主性を重んじる校風で、生徒が主体となって運営する、湘南高校の伝統の体育祭。
縦割りで組まれる9つのチーム、その代表である総務長たちに、ゴシップの影が?
新聞部の1年・花生は、2年のリシュー先輩に連れられ、ゴシップを揉み消す記事を書く任務に当たります。

如何にして波風たてずに真相へ近づき、平穏にコトを収めるか。
総務長らにまつわるゴシップは、ミステリ風のアプローチで一つ一つ鮮やかに解き明かされていきます。
普段はのらりくらりとして見えるリシュー先輩の手腕が光る。
そんな彼にいつもツッコミを入れる花生は、どこまで自分の気持ちに気付いているのか。
青春の甘酸っぱさもひと匙加わって、各章さわやかに、時に苦味を伴いながら展開します。

しかし記事を紡ぐうち、一連の案件は陰謀めいた意図で繋がり始め……
行き着いた事実により、当初予想だにしなかった大きな事態へと発展していくのです。

時代はどんどん移り変わります。人の在り方も変わるでしょう。時には道を誤ってしまう人もいるかもしれません。
伝統か、革新か。
そうした時代のシーンを切り取ることこそ、報道の大事な役目です。
彼らの握るペンは、そんな力を秘めているはず。

読み終わった後、めちゃくちゃ青春したくなりました。
高校生の時って人生の中で本当に一瞬ですが、かけがえのないものですよね。たいへん沁み入りました。
非常に読み応えある作品です。もっと多くの方に読んでいただきたいです!

その他のおすすめレビュー

陽澄すずめさんの他のおすすめレビュー2,664