イタズラ少年とシャンプーマン

うちのオーナーはイタズラが好きだ。バカみたいに子供だ(失礼)。おそらく店内で一番の「少年」(これは失礼じゃない)。


 そして、店内でも圧倒的な「オタク」であるわたしとは話が合う。なぜなら、少年とオタクってギリギリ一緒ですよね。


 そして、そのオーナーから相談を受けた……⚪︎⚪︎くんの誕生日って何がいいと思う?


 何がいいとは、プレゼントではない。プレゼントはすでに用意してある。うちの店はスタッフの誕生日会をするのだ!


 その時にプレゼントとは別のサプライズをどうするか?ということだ。今までにいろいろなサプライズをしてきたようで、もうネタがないと、オーナーは泣きついてきた。


 ふむ……わたしに相談するとは、なかなか分かってらっしゃる。わたしクラスのシャンプーマンは、どんなお客様にも喜んでもらえることを常に考えている。


 つまり、サプライズ大好き人間なのだ!


 ⚪︎⚪︎くんは、けっこうなナルシストだ……よくお客様そっちのけで自分の顔を確認している。では、どうするか……


 彼の写真集を作ってあげよう!


 実は、⚪︎⚪︎くん、「山P……山下智久」に似ている。


 だがこれはドアップで見た場合だ。離れて見ると逆に似ていない。それはきっと、本物の山Pより顔が大きいから全体のバランス的に違って見える……ということなのだろう。(失礼なシャンプーマン)


 でもイケメンではあります。

 

 さらにわたしは考える。写真集を作るなんて普通すぎないか?(普通ではない)


 だったら、山Pとまったく同じ写真集のポーズをとってもらい、右のページは偽物の山P、左のページは本物の山Pという写真集ならどうだ!


 キタコレ!なんかめちゃくちゃ楽しそう!


 オーナーも喜んで賛成してくれて、二人で夢中になった。そう、文化祭テンションというやつだ。


 作っている時が一番楽しい。⚪︎⚪︎くんのために山Pと同じような衣装まで用意して撮影した。こっちは真剣に取り組んでいるのに、オーナーは撮影時に笑いが抑えられずに、手ブレで上手く撮れないなんてこともあった。


 イタズラ少年とオタクの二人の力作は、とてつもない完成度となり、⚪︎⚪︎くんへとプレゼントされた……


 当然……


 喜んで……ない


 そりゃそうだ、なぜならこの作品の完成で一番喜んでいるのは、このアホ二人なのだから……


 オーナー(イタズラ少年)なんて、⚪︎⚪︎くんから写真集を取り返して、みんなに見せたいから預からせてくれと言う始末……


 ⚪︎⚪︎くん、ごめなさい。でもわたしはちゃんと、君を思って作ったよ。


 でもちゃんと、本物のプレゼントを喜んでくれたので良かったです。


 練習しないで何やってんだ、うちの店は!

 

  

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