この『物語』はフィクションです。─虚構が現実を侵蝕する─
鏡 大翔
序章
オタクに優しいギャルは存在しない。
可愛い幼馴染はいない。
美少女は転校してこない。
女の子は空から降ってこない。
あざと可愛い後輩はできない。
美人な義理の姉妹はできない。
学校一の美人生徒がマンションの隣に住んではいない。
美少女に勉強を教える機会はない。
そもそも学年一や学校一の美少女など存在しない。
美人の先輩とは話すことさえない。
美人の先生の家には行く機会はない。
初恋の人には再会しない。
学校の屋上には行けない。
カラフルな髪の生徒は存在しない。
生徒会に権力などない。
特殊な活動内容の部活は存在しない。
ブラコンな妹などいない。
友達の母親は姉と見間違うほど若くない。
ラッキースケベは起こらない。
テロリストが学校を占拠などしない。
ゾンビパニックは起こらない。
トラックに轢かれても異世界に転生できない。
漫画やアニメ、小説で見かける定番のあれやこれは現実には存在し得ないのだ。そんなものは幻想だ。
そう、幻想なのだ。泡沫の夢なのだ。
きっと誰しも一度は憧れた。例えば、高校に入学するとき、そんなことはあり得ないと頭で分かっていても、もしかしたら『物語』のようなことが起こるのではないかと一抹の希望を抱いただろう。
そして、現実はフィクションとは違うということを身をもって理解しただろう。
しかし。
しかし、世の中にはそういったフィクションのようなことが現実で起こる人たちが存在する。
そして、そういった人たちはこう呼ばれている。
物語に魅入られると。
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