第12話 五月雨女達


かわいくなんて、

期待されていないから

かっこいい女であることを、

期待されているのなら

斜に構えた、屈さぬ姿勢

胸を張ると心は萎んだ

周りを失望させないため

期待通りに下手に笑う

テディベアのぬいぐるみが好きなんて

所望されていない


10m ²の部屋

姿見と向き合った、あたし

耳朶に針を刺して罰を執行した

ルビーがあたしの罰を装飾する

六畳

上手に笑えた



ペチャパイを見つめて

柔らかな唇に触れる

腹の赤が女を染める

淡かった乳房が色を強めて

汚れてしまったと、赤色吐息した

萎んだ心と膨らみました胸

ツキ出る0歳未満


何度も失敗はできない






ダブルフォルト!


私の高校総体は終わった

2回続いたサーブミス

ダブルスの片割れが寄ってきて

「美春先輩、ありがとうございました」

後輩に抱きしめられた

高校3年生インターハイ予選

トーナメント表の中腹でいつも通りに下山して、

私のテニスは終わり








第2回生徒会 5月


「由美!来てくれたんだ、ありがとう」

「キャキャ先輩、私だけですか」

「うん、3年生はみんな部活とか忙しいから。2年生はなんで来ないんだろう。由美、聞いてない?」

「いや、聞いてないです。あっ、でも」

「なに?」

「五月雨だから」

「さみだれ?まだ梅雨じゃないでしょ」

キャキャとユミが目を合わせて、由美が学園鞄から傘を取り出した

「私、折り畳み傘好きなんです」

「そうなの?かっこいい傘だね」

「ありがとうございます。私、雨女なんです。誕生日はいつも雨だし、外出しないといけない日は必ず雨が降るので。お守りなんです。折り畳み傘は私にとって安定剤のような」

「安定剤・・折畳傘?」

「ええ、あっそうだ。2-Bの描流は来ないと思います」

「カケル?どうして」

由美が藍の傘を差した、

生徒会室、20平米

「アイツは、濡れる男なんです」

十二畳、基地


生徒会長、キャキャ

・そう、大切な話があるのに・







カワキタ 3-D


「リャリャすまない、放課後に残らせて悪いな」

「いえ、大丈夫です」

「リャリャこれからどうするつもりだ。俺も担任として把握しておきたい」

「はい、9月に出産予定ですので。先日先生とお話しさせていただいたように、夏休みに入ってからシャヤは学校には来れませんが、出産の後、年明け頃にはまた通学できれば。もちろん彼女の体調次第ですが」

カワキタが頷く

「赤ちゃんはどうする」

「生まれた子はしばらくシャヤの家で育てます。ご両親も協力すると言ってくださっています」

「そうか、リャリャ。あの、あのな」

カワキタが俯く

「お前働いているだろ」

「えっ、いや、、はい」

「どうして言ってくれなかった」

「すいません、知ってたんですか」

「学校だって調べるんだ。特にお前たちはマークされてるんだから、言ってほしかった。H配送センターだな。どんな仕事してるんだ」

「ネット販売の仕分けのアルバイトです。これから金が」

「わかるが、うちの学校がアルバイトを禁止しているのは知っているな」






カワキタ

「リャリャ退学だ。すまない。理事・職員合同会議での決定だ。俺にはどうすることもできなかった」

「・・・わかりました、はい」

「前期終了の10月13日まで、シャヤもだ」

卒業はできない

「どうしてシャヤが。関係ないじゃないですか!」

「バイトだけじゃない!バイトじゃない、お前たちの"事"だ。体裁を気にするんだ、学校も!組織なんだ。コトが学校の評価や入学志望者数に影響を及ぼすかもしれない。すまないリャリャ。理解ってくれ」

血走る両眼

「シャヤには僕から話します」






「ふざけないでよ!」

3-D学級委員長ミミ

「ざけんな!学校!それでも」






63ヘーベー

緊急クラス会を開きます

議題は

①クラスメートの退学

②アルバイトの容認

③父校とならなかった理由


classmate

39情




「母校と呼べるのか!」















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