第10話 カワキタ


H高校では3年間クラス替えがありません


2-D

学級委員長のキャキャです


4月から新年度

来週には3年生になります


クラスメイトの推薦に絆されて

2月に執行された生徒会選挙、迂闊にも最多得票を獲得してしまい私は生徒会会長に就任します


最高学年になり、

私にとっては生徒会会長が高等学校の集大成

学級委員長

我関せずタイプのアイサが立候補しました

候補者は一人のみでしたので、形ばかり賛成多数の承認を得て彼女が学級委員長に、元学級委員長の私が任命しました



 

生徒会

H高校では各クラスから1名ずつ生徒会へと学生を送り出します

各学年4クラスありますので12名です

1年生には高校生活順応猶予期間が設けられていて、後期から生徒会へ1名を選出することとなります

H高校は前期、後期の2学期制となっていて10月14日から後期となります

ですので前期は2・3年生の8名、後期は1年生を含めた12名で生徒会を運営することになります


勿論3年生が要職を責することとなりますので、3年生4名のみ選挙が執り行われて会長が選出されます

私、3年D組キャキャです

副会長に3ーA テニス部の蒼生美春

書記に3-B サッカー部の倉田茶目

会計に3-C 野球部の桃尻於邑

獲得得票順に役職が決定しました



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インターハイや冬の選手権、そして甲子園

彼等、彼女にとって青春の重要な局面を迎えることになりますので、帰宅部の私ができる限り同輩の負担を軽減できるよう務める所存であります


・・・・


春休みに入る前、放課後でした

私とアイサの新旧学級委員長は担任のカワキタに話があると言われ、教室に残っていました

世話話なんかをしていると、

カワキタが教室のドアをスライドさせて入ってきました

私達を教壇から程近い、最前列中央の席に座るよう指示しました

カワキタは教壇に立ちました

中背の男教師は難儀な面持ちで言いました

「4月からリャリャとシャヤが学校へ戻ってきます」

私は吃驚しました、隣の女の反応は感知できませんでした

「シャヤは妊娠している」

私は青くなりました、

「父親はリャリャだ」

隣は赤くなりました


シャヤとリャリャは昨年の10月から学校へ来ていませんでした

2人同日から登校しなくなった事実は、二人の関係性の有事を物語っていました


私は震えていました

私の震えを想いやり隠すように、接する隣の机は一際振るえていました


隣のアイサはリャリャに想いを寄せている、と秋風の折に巷説が吹いたことがありました

机がシと涙の音を立てました

私の方も瞼から溢れ零れてシと吸収するように木机を鳴らしました

私はシャヤが好きでした

ステンレスの教卓がシシと先の二涙よりも響く音を落としました

カワキタも泣いていました



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#H高校

#20250329

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