空に近い空間の、幸せなひと夏。

本来ならば立ち入りが禁止されている屋上。

普通なら起こることのない「ありえない出会い」

髪飾りをつけた可憐な少女。

そのすべてがないはずの青春の記憶を匂わせる。

甘いような、酸っぱいような、そんな匂い。

先輩、あなたは誰ですか

どうしてここにいるんですか

先輩は、何もなかった開青の夏を、青く染めていく。

そして匂いにつられた私は、この二人にお似合いな林檎を手に取り齧る。