第32話 キングギドラ猛男の登場
和子「あ、待って、お父さん。またゴジラ……じゃなくって、こんどはキングギドラが来たような気がする(そう云って表の路地奥の方に顔を向ける)」
良夫「なにぃ?キングギドラあ?……」
M(ジャーンという効果音)
路地の奥に猛男が登場し吼える。
猛男「ウォオォォーッ!てやんでえ、矢でも鉄砲でも持って来い!なんでえ、こんな腐れ横丁、俺がみんなぶっ壊したろうか?!(そう喚いたあと〝ゴジラ接近中の効果音〟と共に和子の自宅前、畢竟猛男の自宅前まで来てまた吼える)ウォオォォーッ!誰か出て来いっ!」
為子「あらま、猛男のオヤジだよ。(和子に)お前ほんとに凄いねえ。超常能力でもあるのかい?この人、ゴジラの時も当てたし……」
和子「いいえ、どう致しまして。この劇のプロット役をやってるだけよ(為子ズッコケる)」
金子「ゴジラって誰よ。プロットって何よ……ねえ良夫さん、無茶で勝手な奴には引かないんでしょ?だったら、誰だか知らないけどさ、表の無茶な酔っ払いをかましてやってよ。ほら……」
良夫「(真っ青になって頭を振る)ぶるるる。ダメだ、あの猛男だけは……」
金子「まあ、だらしない。じゃあ私が信心の力を見せてやるわよ。いい?見てなさいよ。こんな時こそまずお題目を唱えて……南無翌檜(あすなろ)大蓄財、南無翌檜(あすなろ)大蓄財(唱えてから台所の窓を開けようとする)」
良夫「ま、待て。や、や、やめろ」
金子「(かまわず窓を開けて)こらっ!こんな時間に表で大声を出すんじゃないっ!近所迷惑も甚だしい!」
猛男「なんだとお~っ?このお、為子のババア……」
為子「なに云ってんのよ。あたしじゃないよ。酔っぱらちゃってさ……ほら、お父さん、猛男の奴が来るよ。何とかしてよ」
良夫「な、なんとかしてって、お前……(そう云いながら手に持ったビールとコップをガチガチと当てて震える)」
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