前半は主としてラブストーリー、後半にかけてサスペンスタッチ、そして若干のミステリーとコメディ、という各要素をタイムリープという仕掛けを使って絶妙に編み込んだ作品だと思いました。
そして、作品の最初から最後まで一貫して「家族への愛情」というテーマが横たわります。
主人公の記憶と未来の変化が多少相関するという巧妙な設定とすることで未来が変わってしまうことへの読者のハラハラ感が増し、そして物語中盤から前世界線のタネ明かしをうまく挟み込んで物語の全体像が明らかになっていくペースを調整していて、最後まで読者を飽きさせないようになっています。
結び方は、読者によっては物足りなさを感じることもあるかもしれませんが、未来が決まったということが「ある方法」によって示されたことで、この結び方が最も美しいのではないか、という結び方の美学というものを私は感じさせられました。
なお、性暴力とDVに関する記述が出てきますので、トラウマをお持ちの方は注意してお読みいただくことをお薦めします。